【ボクシング】42歳パッキャオ、2年ぶり復帰戦の行方は…急遽対戦のウガスは“遅咲きの実力者”

マニー・パッキャオ(左)とヨルデニス・ウガス(右)(2021年8月19日)(C)Getty Images

WBAウェルター級休養王者であるマニー・パッキャオ(フィリピン)のファンは若干複雑な心境だろう。予定されていたWBC・IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンス・ジュニア(米国)とのタイトルマッチが、スペンスの網膜裂孔のためにキャンセル。急遽、アンダーカードに名を連ねていたWBAウェルター級スーパー王者ヨルデニス・ウガス(キューバ)が“代役”として出場することになったからだ。

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■パッキャオ復帰戦は思わぬ展開に…

この一戦は8月21日(日本時間22日)に、ラスベガスのT-モバイル・アリーナでWBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチとして実施される。スペンス戦はボクシング界における今年一番の大勝負になるはずだった。

ウガスも当初予定されていた対戦相手のファビアン・マイダナが練習で負傷。同じ興行のメインイベントと準メインでキャンセルが発生したが、偶然にも同級でのカードという事で対戦が決定した。

パッキャオ・ファンにとってみれば、最強王者スペンスとの一戦はエキサイティングなカードだが、リスクが大き過ぎるとも感じていただろう。万が一、痛烈なKO負けを喫すれば、ラストファイトとなる可能性もあったからだ。

その点、ウガスは与し易い。このマッチ後も現役を続行するかはまだ分からないが、勝利の確率は高くなったはず。一方で、多くのファンにとっては落胆の一言といえよう。ただでさえ少ないビッグマッチの延期・中止は残念でならない。

■代役・ウガスはクレバーなアウトボクサー

対戦相手は変わったが、パッキャオの試合が見られるのはラッキーと考えたい。しかし、一番ラッキーなのはウガスではないか。

初防衛戦の相手がパッキャオとは、まさに“棚ボタ”。残り試合がカウントダウンに入っているパッキャオとの対戦は、通常では組まれるはずもない。もし、勝利すれば一躍名前が売れる。

パッキャオとウガスには、ある因縁がある。2019年7月のキース・サーマン戦以来、試合をしなかったパッキャオに対し、WBAは2021年1月、パッキャオをスーパー王者から休養王者に格下げした。

それにともなってスーパー王者に格上げされたのがウガスだった。パッキャオにとっては、自分が持っていた“スーパー”の称号を取り戻すチャンスでもある。

ウガスはキューバ出身の35歳で、戦績は26勝(12KO)4敗。北京五輪で銅メダルを取った後、アメリカに亡命してプロの道を選んだ。当初はスーパーライト級で試合をしていたが、連敗しキャリアを2年間中断。そこで出会ったのが、名トレーナーのイスマエル・サラスだった。サラスは、長身ボクサーにウエルター級への転向を進言し、以来、世界タイトルに手が届くまでの実力をつけた。

2019年3月、ショーン・ポーターへの初挑戦は議論を呼ぶ1-2の判定で惜敗したが、2020年9月、アベル・ラモスとの王座決定戦を2-1で制して念願のベルトを巻いた。ベタ足で速いステップワークはないが、手足の長さを生かしたクレバーなアウトボクシングを展開する。身長で9センチ低いパッキャオ相手なら、体格差を生かしてポイントアウトする作戦に出るだろう。

なお、前述のポーターは、ウガス戦の半年後にスペンスと王座統一戦を行い、1-2と際どい判定に持ち込んでいる。その力関係からいえば、ウガスもスペンスにそう劣らない実力があると言える。また、代役出場が多く、それらにことごとく勝利して道を切り拓いてきたという一面も見逃せない。


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