【テニス】大坂なおみ、錦織圭、得意のハードコードで上位進出なるか…… 全米オープンは30日開幕 

全豪オープンに出場した大坂なおみ(2021年2月16日)(C)Getty Images

今季最後のグランドスラム、全米オープンが31日(日本時間30日)に開幕。昨年は無観客開催のなか、コート脇に設置されたモニター越しにファンの声援を感じたが、今年は観客動員に制限を設けず以前のような活気あふれる賑やかな大会が戻ってくる(予選は無観客開催)。

予選は24日から開始され、日本勢では杉田祐一が予選決勝に進んだものの、イボ・カルロビッチ(クロアチア)にストレートで敗れ本戦入りを逃した。奈良くるみ、本玉真唯、内藤祐希、添田豪は予選2回戦敗退。日比万葉、内山靖崇、伊藤竜馬は予選1回戦敗退となっている。

本戦には大坂なおみを筆頭に、錦織圭西岡良仁ダニエル太郎日比野菜緒土居美咲が出場。ダブルスにはマクラクラン勉青山修子柴原瑛菜二宮真琴加藤未唯らが出場予定だ。

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■大坂と錦織はハードコートで好相性

大坂は相性のいい全米のハードコートで大会2連覇を目指す。年始の全豪オープン以後、タイトルを獲得していない彼女ではあるが、本来の高いレベルのテニスを維持することができれば自ずと結果はついてくるだろう。ただし、予期せぬ敗戦が続いているからこそ試合の滑り出しが重要だと見ている。状態がいい時の彼女は、サービス1本でのポイント取得率が高い。大事な場面では尚更だ。そしてバックハンドからの安定した打ち分けから、フォアでの攻撃が波に乗り、フィジカル面でも粘り強さが生まれてくる。サービスの調子の良さが、精神面と戦術面に安定感を与え、ストローク戦の勢いを増すことから、出だし3ゲームのサービスゲームの出来が試合全体を支えるポイントになってくるはずだ。

そして、今年一番のキレ味を出している錦織は、五輪後のシティーオープンでも好調をキープし4強入り。その後のナショナルバンクオープン2回戦は右肩の怪我を理由に棄権したが「テニスの感覚は良い」と全米オープンまでの残りの日々を回復にあてている。グランドスラムで「5セットキング」と呼ばれファイナルセットでの驚異の勝率を誇る彼も、上位進出に向け大会序盤をストレート快勝し体力をセーブしたいはずだ。ネットプレーを織り交ぜたNEW錦織で、2014年大会の準優勝を越える姿をファンの誰もが期待している。

先週開催された前哨戦のウェスタン&サザンオープンでは、東京五輪金メダリストのアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ)が自信に満ちたプレーで今季4勝目(通算17勝)を獲得。これで連勝記録を11勝に更新し勢いを増している。

「今大会は素晴らしい1週間だった。最高の気分で全米オープンに臨めるね。でも僕にはまだたくさんの仕事が残っているんだ。ニューヨークでも自分のリズムを見つけなければならないし、ジョコビッチも戻ってくる。他の選手も調子を上げてくると思うよ」と熱戦に向け気合を入れなおす。昨年の決勝では、ドミニク・ティエム(オーストリア)に2セットアップからファイナルセット・タイブレーク6-8と大激戦の末に優勝を逃しただけに、今年は今の勢いを追い風に初のグランドスラムタイトル獲得に燃えていることだろう。

東京五輪でズべレフに苦杯を喫したノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、前哨戦には出場せず調整に励んでいる。彼が全米オープンで優勝すれば年間グランドスラムを達成、そして通算21回目のグランドスラムタイトルとなり、現在、ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が共有している記録を超えることになる。今大会は両者が怪我のため欠場することから記録への張り合いは減るだろうが、前回の敗北からいつもとは違う緊張感と挑戦心が彼のなかに芽生えていると想像している。

■バーディは4大大会2連勝を狙う

女子はウィンブルドン覇者のアシュリー・バーティ(オーストラリア)が同大会で優勝し今季5勝目(通算13勝目)を飾った。金メダルを期待された東京五輪では無念の1回戦敗退だっただけに、毎ポイント丁寧にゲーム展開を確認しながら試合を進めた。

「五輪後、出来るだけリフレッシュをして今大会に臨んだの。その中で各試合での戦術的な変化やニュアンスを楽しみ、それをうまく実行できたことが、今週の大きな収穫。試合を重ねるごとに自分のゲームのほとんどの部分でどんどん良くなっているように感じた」と自身のテニスの立て直しに成功し、全米オープンに向け最高の準備を整えたと言える。大坂の2連覇に立ちはだかる有力候補であることは間違いない。

そしてバーティに敗れたもののダークホースとなったジル・タイヒマン(スイス)は、決勝進出までにグランドスラムを4度制覇している大坂、東京五輪を制したベリンダ・ベンチッチ(スイス)、ウィンブルドン準優勝のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を次々と倒す大活躍を見せた。ランキングは76位から44位へジャンプアップ。全米オープンでもトップ選手たちに勝ち進む快進撃はあるだろうか。楽しみな存在となっている。

全米オープンを6度制しているセリーナ・ウィリアムズ(米国)は、ウィンブルドンで痛めたハムストリング断裂が完治せず欠場を発表。昨年男子優勝のティエムも手首の怪我を理由に欠場する。フェデラー、ナダルと人気選手たちが不在のなか、ニューヨーカーを熱狂させるのは誰だろうか。

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◆【著者プロフィール】久見香奈恵 記事一覧

著者プロフィール

久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員
1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動をはじめ後世への強化指導合宿で活躍中。国内でのプロツアーの大会運営にも力を注ぐ。


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