【WTA】BNPパリバ1回戦突破に見る現代テニス進化の速度と大坂なおみの適応力

 

【WTA】BNPパリバ1回戦突破に見る現代テニス進化の速度と大坂なおみの適応力
BNPパリバ・オープンで初戦突破を果たした大坂なおみ(C)ロイター/USA TODAY Sports

■「いかなる時もベストを尽くす」努力で高めた集中力

第1セットではミスを止めることが出来ず結局、3-6と落とす。だが、第2セットでは安定感を取り戻し6-1と奪い返し第3セットへ持ち込むことに成功。それでもスティーブンスがこのまま黙っているわけもなく、再びエンジンをかけ直すかのようにプレーを向上させ、大坂は0-2の15-40とブレークのピンチを迎えた。だがここで大坂はネットに出てプレッシャーをかけ返し1度目のゲームポイントを逃れ、2度目のブレークポイントは強烈なサービスで相手の勢いを阻止した。

大坂が波に乗りだす時、多くはバックの鋭角へのクロスショットが起点となりビッグフォアを発揮。そしてサービス1本でポイントに繋げることで彼女にとって良い時間帯が訪れやすく仕立てている。今回もそのプレーが、彼女のピンチを救い、自身の高いレベルのプレーを取り戻すきっかけになっているように思う。

また全豪の時から見受けられる「いかなる時もベストを尽くす」努力は、今回のように強風のなかでも大坂のフラストレーションを沈め、いかに上手くゲームを運ぶかへの集中を促した。

終わってみれば、第3セットはピンチを迎えた第3ゲームから6ゲーム連取での逆転勝利。勝利後には笑みを見せて観客に手を振り「とても寒かったのに、ずっと見ていてくれて本当にありがたかったです」と感謝を伝えた。

また試合を振り返り「スローンはトーナメントを勝ち抜いたばかりで自信に満ちていると思っていたので、私にとって本当に良いテストになりました。でも同時に、もっと多くの試合をする必要があります」と勝利への意欲を語った。

大坂は2回戦で第21シードのベロニカ・クデルメトワ(ロシア)と対戦する。初優勝の思い出深きインディアンウェルズの地で更なる飛躍を狙い邁進する。

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著者プロフィール

久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員

1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動に尽力。22年よりアメリカ在住、国外から世界のテニス動向を届ける。

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