【Bリーグ】群馬クレインサンダーズで日本代表も狙う八村阿蓮の覚悟 「兄は兄、自分は自分」

 

【Bリーグ】群馬クレインサンダーズで日本代表も狙う八村阿蓮の覚悟 「兄は兄、自分は自分」
群馬クレインサンダーズでプレーする八村阿蓮 提供:群馬クレインサンダーズ

■キング、レブロン・ジェームズに憧れた子ども時代

子どもの頃、NBAを見てはレブロン・ジェームズに憧れた。現在はレイカーズに所属しているが、よく見ていた当時はマイアミ・ヒートに在籍していた。チャンピオンに輝く姿を見ては「すごいな」と憧れた。そんな選手が「僕が小学校の頃から今まで変わらず活躍し続けていて尊敬している」と想いを口にした。ただファンとして見ていたNBA。しかし現在は新しいポジションへ挑戦するにあたり、ポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)やジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)など、スーパースターのプレーが参考になる。「自分と同じでそんなにスピードはないがプレーに緩急がありスキルもある」と研究を欠かさない。緩急があることで相手とのタイミングをずらすことができる。さらに彼らはボール・ハンドリング力の高さなども優れている。身体能力に頼らないプレーはBリーグでの活躍においても鍵となりそうだ。

プロになってから「NBAの見方が変わった」という八村。そこにはもちろん兄の存在も大きいだろう。兄はワシントン・ウィザーズでプレーをする八村塁。日本人として初めてドラフト1巡目指名を受けるなど日本バスケットボール界で歴史を作り続けている。ドラフトには兄とともに出席した。その際のことを振り返り「兄にとっても特別な時間だったと思う。兄弟としても感動、感激だった」と語った。現在も頻繁に連絡を取り合い、近況報告をし合う兄弟。偉大な兄を誰よりそばで見てきた。それでも「兄は兄、自分は自分」と決して自分を見失わない八村の姿勢や言葉が印象的だった。

東海大学の恩師、陸川章さんからは「下を向いても何もない、前を常に向く」ことを教わり、「何事もポジティブに考えよう」と今も胸に刻んでいる。これからもその教訓を胸に突き進む。東海大学バスケットボール部の同期である大倉颯太(千葉ジェッツ)や佐土原遼(広島ドラゴンフライズ)らは既に各チームで活躍を見せている。「みんな試合に絡めていることはSNSでチェックしている」と少なからず刺激を受けている。

関東リーグを制した東海大学のメンバー 左端が八村阿蓮 提供:群馬クレインサンダーズ

今、八村が抱くのは「Bリーグでトップの選手になりたい。将来的には日本代表に入りたい」という夢。まずは残り少ないシーズン、群馬でプレータイムを掴むことが必須。「群馬は早い展開のバスケットボールをするので、まだ観戦したことがない方でも分かりやすく楽しいと思う。会場で見ると迫力が違う」と来場を呼びかけるとともに、これからの飛躍を誓った。そして常に下を向くことなく成長を続けBリーグを代表する選手として日本代表入りし、兄とともに国際舞台でチームを牽引して欲しいと思う。

まだプロとしての歩みはスタートしたばかりだ。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)
●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。