■スポーツの魅力を『すごい!』と再確認
スポーツの魅力については、ビジネスとして手掛けた際、さらに再認識したと語る。
「FC東京やスワローズのスポンサーを手掛けた際に、スポーツそのものを『すごい!』と感じました。チケッティングで人を呼び、グッズを販売し、ファンクラブを大きくしていく、ゲームと同じ『ファン・ビジネス』と捉えてはいました。しかし、ゲームはファンを飽きさせないために、開発の連続なんです。しかも、うまく行かないと遊んでもらえない。ゲームの内容そのものを常にアップデートする必要があります。ところが、これをスポーツに置き換えると、100年以上ほぼ同じルールで変わらない。同じ競技性にもかかわらず、ファンを飽きさせない熱があります」と目からうろこだったと言う。
「ひとたび、チームのファンになった際、応援してくれる熱量は非常に高いと感じます。エンタメに近い要素もありますし、半永久的に好かれるのがスポーツ。モンストで多くのファンを抱えるようになった現象を活かしスポーツでもファンを獲得できればと考えています」。
Jリーグもプロ野球もスポンサーという形での関与だったが、Bリーグにおいて経営に参画するに至った決め手はなんだったのだろうか。
「野球は60年以上、サッカーも30年に対し、プロのバスケットボールリーグは3年という、まだ入り口にありました(参入検討時)。まだまだ参入に足る余地がありますし、アメリカの地域密着型のスポーツを想定すると、千葉ジェッツふなばしは、まさにそのモデルケースになるのではないかと考えました」とリーグ初期から参画できる点は大きな魅力だったようだ。
「船橋市だけで60万人、周辺の習志野市、八千代市、市川市、松戸市などまで合わせると200万人の商圏です。その中で5000人の観客ですから、まだまだ伸び代が残されています。また船橋は、もともとバスケ文化の土壌があります。実は、「ミニバス(小学生を対象としたミニバスケットボール)」の隆盛の地は、船橋という説があるくらい、各小学校にはバスケ部があったり、ママさんバスケもすごく盛んで、バスケットボールを楽しむ方たちがとても多いのが特徴です」。田村さんはこうした土壌も、千葉ジェッツふなばしが根付く要因だったと睨んでいる。
■スポーツ界に求められる人材とは
SNSそしてモバイルゲームの現場からスポーツ業界へと戦場を「転進」して来た田村さんに今後、スポーツ界に求められるだろう人材についても訊くと……。
「そもそも漫然と入りたいでは難しいと思います。何をやりたいのか目標をもつこと。昔は体育会経験のある方なら、朝から晩まで働く体力勝負……という意味合いでもスポーツビジネスに従事できたかもしれません。現在は、クラブのビジョン、理念と親和性が高く、そこで何ができるのか。また、デジタルでの展開も必要な時代なので、ITに強い方、エンジニアの方とかがいるとよりスポーツも変わっていけると感じます。現在、ジェッツもミクシィから支援を受けていますが、『スポーツ×エンジニア』という部分においては、非常にニーズが高いのではないでしょうか」と人材ニーズについての意見は明快だ。
今後、スポーツの仕事を模索する上では、やはり「スポーツ×デジタル」という領域での活躍が望まれるのかもしれない。少なともこの業界を目指す方は、ITリテラシーを高めておく必要がありそうだ。
◆【インタビュー後編】モンストからバスケへ 田村征也・千葉ジェッツふなばし代表取締役社長 金満球団のレッテル払拭に苦心中
◆【スポーツビジネスを読む】「人生の縮図」レース沼にはまった石渡美奈HOPPY team TSUCHIYA共同オーナー 後編 独立企業、跡取りたちの戦い
著者プロフィール
松永裕司●Stats Perform Vice President
NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoftと毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist。
















