28日は中山競馬場で年内最後のJRA・GIとなるホープフルS(GI、芝2000m)が行われます。前身は1984年創設のラジオたんぱ杯3歳牝馬Sで、その後レース名や条件、舞台などが替わり、2014年以降は中山芝2000mを舞台に行われています。
GIに昇格したのは2017年と歴史が浅いため、、今回はGII時代を含む2014年以降の過去レースを集計対象としています。それでは気になる騎手データを見ていきましょう。
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■川田将雅騎手の頭を意識
今年のホープフルSに乗り鞍があり、2014年以降のホープフルSで騎乗経験があるのは次の12騎手です。
集計レース数の問題もあってか、特定の騎手に好走が偏っていて、連対経験があるのは僅か4騎手のみ。騎手買いを推奨できるGIかもしれませんね。
その4騎手の中で、着順と人気のバランスに優れ、連対率も66.7%と優秀なのが川田将雅騎手です。2014年のシャイニングレイ(2人気)、2020年のダノンザキッド(1人気)の2頭を勝利に導き、過去3回の騎乗でいずれも人気以上の着順を確保できている点は素晴らしいですね。
また【川田将雅騎手】×【ノーザンファーム生産馬】の組み合わせは【2-0-0-0】と勝率100%データも見つかります。今年同騎手が跨るのがノーザンファーム生産馬のフィデル(牡2、栗東・友道康夫厩舎)。
川田将雅騎手が騎乗する以上、頭まで警戒すべきでしょう。
そしてもうひとり頭を意識したいのがC.デムーロ騎手です。どうしても人気になりやすい騎手ではありますが、少ない騎乗機会の中で2017年のタイムフライヤー(1番人気)を1着に導いているのは見逃せません。
同騎手は2戦2勝の超良血ディープインパクト産駒のジャスティンパレス(牡2、栗東・杉山晴紀厩舎)に騎乗予定。3連勝でGI制覇となるか注目です。
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■武豊騎手は2、3着候補か
JRAの平地GI完全制覇までホープフルSを残すのみとなった武豊騎手。人気に比べると若干の着順の落ち込みは見られますが、連対率は25%、複勝率は50%と高い値をマーク。
また、年ごとの着順を見ると2014年ティルナノーグ(3人気10着)、2016年サングレーザー(3人気5着)、2017年ジャンダルム(4人気2着)、2020年ヨーホーレイク(4人気3着)と近2走はあと一歩のところまで詰められていることがわかります。
同騎手は札幌2歳Sで2着だったアスクワイルドモア(牡2、栗東・藤原英昭厩舎)に騎乗予定。朝日杯FSを今年制した勢いでここもと考える競馬ファンが多いかもしれませんね。ただし、過去勝利した経験はありませんから、データ上は2、3着候補として考えるのが適切でしょう。
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■軸はC.ルメール騎手で決まり
最後は【1-2-2-1】の連対率50%、複勝率83.3%というとんでもない数値を誇るC.ルメール騎手について見て行きましょう。
2017年のフラットレー(3人気13着)の結果が尾を引き、人気と比べると着順は落ち込んでしまいますが、2015年のバティスティーニ(2人気3着)、2016年のレイデオロ(1人気1着)、2020年のオーソクレース(3人気2着)ら5度の馬券絡みがあります。また2番人気以内では【1-1-2-0】と複勝率100%データも見つかりますね。
そして今年のホープフルSでC.ルメール騎手が跨るのが抜けた1番人気に推されているコマンドライン(牡2、美浦・国枝栄厩舎)。出走メンバー中唯一の重賞優勝馬で、さらにC.ルメール騎手が続けて騎乗するとなれば、人気でも嫌う必要は一切ないと判断できます。配当を考えた場合、3連単の3着付けで勝負してみるのが面白そうです。
以上、ホープフルSの気になる騎手データを見て行きました。過去100%データが見つかったことから、データ注目騎手として川田将雅騎手、C.ルメール騎手の2名を推奨します。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。