【MLB】歴代最多サイ・ヤング賞7度のロジャー・クレメンス、野球殿堂入りならず……その最後の来日を振り返り、功績を惜しむ

 

【MLB】歴代最多サイ・ヤング賞7度のロジャー・クレメンス、野球殿堂入りならず……その最後の来日を振り返り、功績を惜しむ
ヤンキースなどで通算354勝を挙げたロジャー・クレメンス(C)Getty Images

■「これほど歓迎され、信じられない気持ちでいっぱいだ」

この来日中も、常に「引退」の文字がついてまわり、この日が最後になるかもしれないマウンドだっただけに海外記者からはこんな質問が飛んだ。

「これが最後になるかどうかは答えてもらえないと思うが、日本に来て投げた感想はどうだった」。クレメンスは「これほど遠くにきて、これほど歓迎されること、信じられない気持ちでいっぱいだ」と日本のファンの歓迎に敬意を表した。結局、引退についてはコメントせず終いだった(※この後、アストロズと再契約し2シーズン、さらにヤンキースでももう1年を投げ引退)。

11日朝のスポーツ紙に「楽天、クレメンス獲り」の見出しを見つけた。冗談はよしてほしい。クレメンスは「これから神戸牛でも食べて、ゆっくり休むとするよ」と会見場を後にしたのだ。引退がはっきりするのには、今しばらく時間かかるかもしれない。ただ、クレメンスが仙台に牛タンを食べにやってくることは、いちファンとしても望まない。

会見場で記者団の質問に答えるクレメンスからは、なにか一区切りついたような、さっぱりした、ひどくリラックスした表情が窺えた。いつもマウンド上で見せる闘争心の固まりのような「ロケット」はそこにはなく、サバサバした受け答えが、クレメンスの何かを成し遂げ終えた達成感を窺わせた。

MSNスポーツ 2004年11月11日掲載分に加筆・転載

クレメンスは現役時代、投手にとってもトレーニングの重要性を説き実践、そのトレーニング手法を元ヤンキースのエース、アンディ・ペティットらも習ったように、後進の面倒見の良さでも知られていた。松井秀喜さんも現役時代、彼のトレーニング量について「信じられない」とコメントしたほど、練習の虫ともされた。

アメリカでもこの薬物使用についての評価は分かれ、名選手たちの殿堂入りを阻む理由ではある。だが、それが起因しこれほどの選手たちが評価されないという論調のままで「よし」とするのかは疑問でもある。

Advertisement


上に転載された記事のタイトルは「さよなら、ロケット」だった。これがクレメンスにとって野球人としての「さよなら」であるならば、いささか不憫でならない。

◆デービッド・オルティスが東京ドームで魅せたメジャーの洗礼 脅威の160メートル弾

◆ファンの度肝を抜き続けた野茂英雄のメジャー100勝達成

◆【著者プロフィール】たまさぶろ 記事一覧

著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。

izukawaya