【Dリーグ】2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」

 

【Dリーグ】2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」
プロダンスDリーグで2年連続最優秀ダンサーに輝いたISSEI 撮影: SPREAD編集部

■ブレイキン=ライフスタイル

またダンスの捉え方としても「ブレイキンはライフスタイルなので、日々の動きからダンスに落とし込んでいったり、外に出て見たり触れたりしたことが、結局すべてダンスに繋がっていったりすることが多いです。自分のダンスをブラッシュアップするための、筋トレなどの日々のトレーニングというのも特にしていなくて、すべて踊りながら、軸も筋肉も鍛えています。練習、というのもちょっと普通のスポーツとは考え方が違って、日々の動作や、何かを見て得たインスピレーションから新しい動きを作る時に、その動きの“練習”をすることはありますが、練習を重ねるというよりは、毎日踊っていくなかで身体は出来て行き、自分をブラッシュアップするためには常に試合に出て、実戦の場で強くなっていくというのが自分のこれまでのスタイルです。試合のその時の空気や相手が繰り出してきた技、その時かかる曲など、ブレイキンのバトルはすべてが即興での勝負なので、そこで自分がどう反応して何を出していけるのか。反射神経や経験や勘が頼りです」とひとつの枠にはめ込むことなく取り組んでいる点を明かした。

Dリーグ優勝時には「ダンス、やっててよかった!」の言葉が印象的だった  撮影:SPREAD編集部

さらにダンスへの取り組むも「メンタル的トレーニングも、日々感じることを考えぬくことでメンタルを鍛えていると感じています。マインド作りという点でも、自分の以前の師匠から『一生懸命頑張ることを好きになれ』と教えられたのが大きいです。それは熱中出来ているときで、自分が一生懸命になれているときが最も自分が良い状態の時なので、本当に全部を一生懸命出来ているなら間違いない!と思っています。すべて一生懸命やっていたら、良いことしかない。それで、もしも結果が伴わなくても後悔しないですし、後悔したくないから、熱中します。そして、そのためにも無理はしない。ダンスを嫌いにならないように、無理をしすぎない。ありのままの自分で踊ること。そして、怪我をしそうと思ったら無理をしないで潔くメリハリをつけることも大切です」とその姿勢を示した。

古来より、ダンスは信仰のようなものだと言う人がいるが、“ISSEI流ダンス道”ともいえる話を聞いていたら、一流ダンサーとしての極意のようなものが垣間見えて目が覚める思いがした。と同時に、その道を究めたものだけが行き着くであろう境地に触れ、ある種の悟りともいえる深みを感じることにもなった。

Dリーグでの2年間は、“負ける楽しさ”を知った月日でもあり、これまでになく大勢の観衆の前で踊るという楽しさを知り、「またさらにダンスが好きになった」と語るISSEI。今後はDリーグとは戦い方の違うバトルの世界に戻り、バトラーとしての現場感と勘を取り戻してゆくということをしながら、“記録より記憶に残るダンス”を目指し、自分が楽しいと思うことをやりながらさらにブレイキンの可能性を広げてゆきたいとも語ってくれた。
そして、ちょうど2年後の夏、パリ・オリンピックの檜舞台も待っている。

彼の話を聞けば聞くほど、これほどまでにダンスを愛し、ブレイキンの未来を深く広く考えているダンサーはいないのではないかという確信に至ることとなった。オリンピックの金メダル候補という大きな期待もさることながら、ダンス界に、ダンサーISSEIのビッグハートがさらに大きく素敵なオーラとなって降り注ぐ未来が見える気がした2022年の夏。ここからさらに、いろいろな場所で彼のダンスが人々を沸かせることとなるだろう。ISSEIに注がれるダンスの神様の寵愛がますます強くなることを祈りながら、次にまた、彼が様々な舞台で力強く華麗に舞う姿が見られる時を、心待ちにしたい。

撮影: SPREAD編集部

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著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー


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