【Wリーグ】パリ五輪の金メダルへ 進化し続ける町田瑠唯の凱旋

ENEOSサンフラワーズ戦でチームを圧勝へとけん引した町田瑠唯 撮影:永塚和志
ENEOSサンフラワーズ戦でチームを圧勝へとけん引した町田瑠唯 撮影:永塚和志

■課題はオフェンス力

今年のWNBAシーズン。主にバックアップPGとしてプレーした町田の平均得点は1.8で、2ケタ得点を記録した試合はなかった(3Pが2Pの1.5倍の価値を持つことを考慮し得点の効率の良さを示す“eFG成功率”は35.1%と低かった)。現時点で町田が来年もWNBAでプレーするかは不明だが、シーズン終了後、ティボーHCはオフェンスの脅威になることが今後も162cmと小柄な彼女が同リーグで活躍できるかの鍵になるといったことを語っている。

課題となるツリーポイントも改良中 撮影:永塚和志

昨シーズンはWリーグのファイナルまで進出した富士通だが、2022−23シーズンは篠崎澪(引退)とオコエ桃仁花(ギリシャのチームへ移籍)が不在で、戦力的に苦しく、ゆえに町田や彼女と同様、東京オリンピックメンバーの宮澤夕貴にかかる負担が大きくなる。得点面でも無論、そうだ。「(テーブスHCから)『アンダー(下がって守られること)で守られるのはだめだよ』と結構、言われていましたし、アンダーで相手が来たら打つと思わせないといけないですし、入らなくても打っていこうかなと思っていました」。

冒頭の試合。得点への姿勢が如実に表れていた町田は、そのように振り返った。味方選手を衝立にして「ズレ」を作るピック・アンド・ロールプレーでは、相手が下がって守っているのを見て、積極的にシュートを放った。従前の彼女であれば、そこから展開して味方へのパスを模索することが多かったはずだ。町田が「パスファースト」、つまりまずは味方へのアシストを考えるPGであることが変わることはない。彼女の武器はあくまでそこであり続ける。しかし、自身が得点の脅威であるところも見せておかねば、パスも生きてこないし、相手に対策されて手詰まりになりやすくなってしまう。

ミスティックスでは3Pのフォーム変更にも取り組んだ。「まだ安定はしていないですし、練習途中」(町田)だと言うが、攻撃の幅を広げるべく苦心している。開幕からまだ数試合ながら、今季の町田の平均得点は12.3点とキャリア最高のペースだ。

翌30日、富士通は63-59で再びENEOSを下した。町田は16得点、5アシスト、4スティールと活躍した。2018-19までリーグ11連覇の強豪からの連勝は、富士通が今季戦っていく上で自信を植え付けるものとなったはずだが、その中心はやはり町田となる。

富士通ではチームの中心 撮影:永塚和志

Wリーグ、WNBAと休みなくプレーし続けた町田は、9月下旬からのFIBA女子ワールドカップに町田は出場しなかった。しかし、2024年パリオリンピックへ日本が出場した場合は、東京でと同様に、エースPGとしての活躍がなくば、掲げる金メダルという目標には到底、届かない。

史上4人目の日本人としてWNBAに挑んだ29歳の町田が、選手としてここからもう一段階上のレベルへ上がっていけるかどうか、見ものだ。

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著者プロフィール

永塚和志●スポーツライター
元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。


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