第28回ユニコーンS(GIII、ダ1600m)は、UAEダービー4着から帰国初戦を迎えるペリエールが中心か。対するは、兵庫ジュニアGP制覇の実績があるオマツリオトコや、1勝クラスを勝ち上がって勢いに乗るブライアンセンス、2戦2勝と無敗のワールズコライドなど、今後のダートGI戦線を狙う登竜門として、激しい戦いが見られそうだ。
そんな中、前走の昇竜Sで鋭い決め手を繰り出して差し切り勝ちを決めたグレートサンドシーが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■マイルの経験値がないと厳しい昇竜S組
グレートサンドシーは、前走の昇竜Sで、後方12番手から上がり36秒2と強烈な末脚を発揮して、2着に3馬身半差の快勝劇を演じ、ユニコーンSでも有力な1頭に数えられる。そのポテンシャルは、3歳世代では屈指の存在だが、まだキャリア3戦で、レース中もまだ幼さの残る現状。約3カ月の休養を経て、どこまで成長しているかがカギを握りそうだ。
その昇竜Sでは、後方待機策からの圧勝となったが、その戦法が、引き続きユニコーンSでも通用するかどうか疑問符がつく。過去10年のユニコーンSで、前走4コーナーの位置が10番手以下だった馬の成績は【1.1.1.28】で、勝ったのは2021年のスマッシャーのみ。しかも、同馬は7番人気と伏兵の立場だった。同年のラペルーズ(1人気13着)や、昨年のハセドン(2人気8着)など、人気サイドが取りこぼすシーンは多く、正直あてにしづらい。
またユニコーンSでは、同距離か距離短縮組が優勢。前走が1600mだった馬が【5.4.6.50】で最も勝ち馬を輩出しており、次に成績が良いのが距離短縮組の【4.4.4.35】。一方、1200mや1400mから距離延長で臨んだ馬は【1.2.1.39】と、やや分が悪い。しかも、連に絡んだのはすべて端午S組だ。
中京のダ1400mで行われるようになった2014年以降、昇竜S勝ち馬のユニコーンSでの成績は【0.2.0.5】。そのほとんどは、間に1~2戦挟んでいるが、2016年ダノンフェイス(4人気6着)や、昨年のリメイク(1人気6着)など、マイルでの勝ち鞍がない馬は、ユニコーンSでは掲示板入りを逃している。
グレートサンドシーは2走前のヒヤシンスSで、今回人気の中心となりそうなペリエールの4着に完敗しており、再びマイル戦で、どこまでその差を詰められるか微妙なところ。ユニコーンSではキャリアもモノを言い、キャリア3戦以下の馬は【1.0.1.6】と、勝ったのは2020年カフェファラオのみ。同馬はすでにヒヤシンスSを制するなど、マイルでの実績は持ち合わせていた。これらを踏まえ、人気ほどの妙味はないと考え、グレートサンドシーの今回は、思い切って「消し」でいきたい。
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著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。