今週末は、第60回新潟記念(GIII、新潟芝2000m)が行われる。
春の牝馬クラシック戦線で好走のキズナ産駒ライトバック、七夕賞で初重賞制覇のディープインパクト産駒レッドラディエンス、中山記念以来の実戦となるモーリス産駒ラーグルフなど、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
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目次
■ベタ買いOKのキングカメハメハ内包馬
過去10年、キングカメハメハ内包馬の成績は【5.4.1.17】で勝率18.5%、複勝率37.0%。10回のうち5回でキンカメ内包馬が勝利を収めているうえ、回収率も単勝148%、複勝130%とベタ買いOKの数字となっている。
注目したいのがキンカメの持つミルリーフの血。これを直接クロスさせたり、ミルリーフ≒リヴァーマンの組み合わせとして継続した馬から近2年の勝ち馬(ノッキングポイント、カラテ)が出ていることは押さえておきたい。
欧州的な斬れを伝えるミルリーフなので、これを増強することが最終週で荒れた新潟の長い直線への適性を向上させることに繋がるのだろう。
ちなみにキンカメとフジキセキを併せ持つブラストワンピースがこのレースを制したのも、この話の延長線上にある。フジキセキの3代母ミリセントはミルリーフの半妹であり、父系に入るナスルーラも共通。これを介してキンカメからミルリーフ的な要素を引き出せたのがブラストワンピースの勝因のひとつと見る。
欧州的な要素という点ではニジンスキーの血にも注目。ニジンスキークロスを持つキンカメ内包馬はこの10年で【2.2.1.2】で複勝率71.4%。リピーターのユーキャンスマイルが数字を跳ね上げている点は否定しないが、それを補って余りあるくらいに優秀な数字だ。
■傾向にピタリ当てはまるキングズパレス
今回注目したいのは、キングカメハメハ産駒。ここでは該当馬のキングズパレスをピックアップする。
同レースと相性の良いキンカメ内包馬、というか父がキングカメハメハで、全姉リバティハイツはフィリーズレビューの勝ち馬。同馬についてはキンカメ×ドバウィという血統からも9-10Fベストの中距離馬だと思っていて、2200m以上で勝ち切れない競馬を続けていたのは単に距離の壁に泣いていたのだろう。
引き続き2000mに出走してくれるのなら高評価すべき、というのがファーストインプレッション。
そのうえ注目ポイントとしたミルリーフクロスとニジンスキークロス(※グリーンダンサークロスではあるが)も抱えており、傾向にもピタリ当てはまっている。今年の新潟大賞典は3着以下に敗れた馬から次走好走する馬が多く、一定以上のレベルにはあった感。そこで2着の実績はやはり評価すべき。
高速馬場で結果を残してきた馬ではあるものの、キンカメ×ドバウィ×スワーヴダンサーで欧州風味も強い配合なので多少馬場が荒れても問題なし。得意の左回り替わりでさらなる前進を期待したい。
あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。