今週は秋の最強女王決定戦・第49回エリザベス女王杯(GI、芝2200m)が京都競馬場で行われる。
今年は昨年のホープフルS覇者レガレイラが唯一、3歳牝馬として出走。古馬勢は、一昨年の秋華賞馬スタニングローズ、昨年3着のハーパー、4着のライラック、6着サリエラなどの重賞常連組に加え、ホールネス、シランケド、シンティレーションなどの新興勢力が激突する。
そんな中、春のクラシックで果敢に牡馬へ挑戦してきたレガレイラが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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目次
■3歳馬は過去10年でわずか2勝
ホープフルSで牡馬を蹴散らし、春は皐月賞、ダービーを転戦し善戦。デビュー以来、常にメンバー中最速の末脚を披露してきたレガレイラが、ここでは注目の存在だろう。ところが、牝馬同士の戦いとなった前走のローズSでは5着に敗戦。休養明け初戦で、序盤で後手に回るなど、スムーズなレースができなかったとはいえ、不満の残る結果だ。
先着を許した相手も、のちに秋華賞へ駒を進めたクイーンズウォーク、セキトバイースト、タガノエルピーダと、いずれも掲示板外に敗戦しており、決して強かったとはいえないメンバーを相手に取りこぼすあたり、レガレイラに過度な期待をかけ過ぎてはいないだろうか。
過去10年、3歳馬の成績は【2.3.3.26】と、決して信頼度の高い数字ではない。複勝圏内に入った8頭中6頭は前走秋華賞組で、残る2頭はオークスを制して直行で3着に来たラヴズオンリーユーと、昨年ローズS2着から優勝したブレイディヴェーグの2例。ローズSからの臨戦は昨年の成功例があり、問題ないところかもしれないが、レガレイラのローズSでの内容を鑑みると、一抹の不安がよぎる。
■牡馬クラシックの激戦が尾を引く
また、ローズS時の当コラムでも記したが、春のクラシックで牡馬に挑戦した馬が、秋に牝馬同士の戦いに戻った際に、結果を残せていない点も気にかかる。過去20年、皐月賞またはダービーに出走した牝馬は5頭。そのうち2014年バウンスシャッセ、同年レッドリヴェール、17年ファンディーナの3頭は、秋の牝馬戦線でことごとく敗退。2007年のダービー馬ウオッカも秋華賞は3着と取りこぼし、21年サトノレイナスはダービー後に引退した。
また、レガレイラの近4走は、すべて4コーナー10番手以下の位置取りで運んでいるが、過去10年、4コーナー10番手以下の馬の成績は【0.3.4.64】と、勝ち馬は輩出しておらず、直線の長い京都外回りコースとはいえ、後方一辺倒では前を捉えきることはできない。このあたり、レース戦法の幅が少ないレガレイラにとっては、厳しい戦いになるのではないか。
今年は3歳勢ではオークス・秋華賞2冠のチェルヴィニアや、桜花賞馬ステレンボッシュ、古馬では昨年の覇者ブレイディヴェーグなど、牝馬の一線級がそれぞれ別路線を選択し、女王決定戦としてはやや手薄なメンバーとなった。その中で、押し出されるような形で人気を集めそうなレガレイラだが、前記で示したように、そこまで信頼度の高い馬とも思えない。ここは妙味はないと判断し、思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。