今週は中央競馬の締めくくり、来春のクラシック戦線へつながる重要な一戦、第41回ホープフルS(GI、芝2000m)が中山競馬場で行われる。
東スポ杯2歳Sを制したクロワデュノールや、札幌2歳S覇者マジックサンズといった重賞ウイナーをはじめ、京都2歳S2着ジョバンニ、同3着クラウディアイや、アイビーS2着ピコチャンブラック、芙蓉Sを制したジェットマグナム、母が牝馬三冠アパパネの仔アマキヒなど将来を嘱望される優駿が集結。見応えたっぷりの一戦だ。
そんな中、アイビーSを制して臨むマスカレードボールが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■戸崎騎手の“もう一丁”はない!?
昨年、牝馬による初めての優勝を飾ったのがレガレイラ。その一年後、3歳牝馬による64年ぶりの有馬記念制覇という偉業を成し遂げ、ホープフルSの価値はますます高まる結果に。そのレガレイラは昨年アイビーS3着からの臨戦でホープフルS制覇につながったわけだが、今年、そのアイビーSを制したのがマスカレードボールだ。
道中スローペースから、上がりの時計が11秒8-11秒3-11秒2の加速ラップで好位から差し切る優秀なパフォーマンス。アイビーSの上位3着までに入線すれば、GI昇格後の過去7年【1.1.1.0】とホープフルSとの相性も良く、昨年のレガレイラに続きマスカレードボールにも大いに期待は高まる。
一方で、当時はメンバーに恵まれた印象もある。2着ピコチャンブラックとは今回再び相まみえるが、3着シルバーレイン以下は4頭がその後出走し、1勝クラスでさえ勝ち星を挙げることができていない。
アイビーSでは3番人気だった点も気になる材料。過去7年のホープフルSで、前走1番人気だった馬が【6.4.2.18】と圧倒的で、2番人気以下で勝った馬は、22年14番人気で穴を開けたドゥラエレーデのみ。レースを問わず、前走1着馬がホープフルSを制したのは3頭いるが、いずれも1番人気に支持されていた。前走がフロックだったという見方もなくはない。
また、新潟、東京と過去2戦左回りの広いコースしか経験していない点も気がかりで、小回り中山コースへの対応もカギとなりそう。オープンまで出世した半兄トゥーフェイスは全4勝が東京、半姉マスクトディーヴァも阪神で重賞2勝。血統背景からも本質的には広くて直線の長いコース向きと考える。
鞍上は有馬記念を制して勢いに乗っている戸崎騎手。GI13勝のトップジョッキーも、いまだ2週連続GI制覇の経験はなく“もう一丁”という期待値はそれほど高くない。2戦2勝の無敗で、前走好内容。マスクトディーヴァの半弟とあって人気を集めそうな印象のマスカレードボールだが、そこまでの信頼度は高いと考えにくく、妙味を考慮すると、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
ホープフルステークス2024 予想コラム一覧
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穴馬予想
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。