■“聖地”での防衛戦は4団体統一への序章
世界バンタム級戦線では、もうひとつ楽しみな試合がひかえている。8月14日、WBO王者のジョンリエル・カシメロとWBA正規王者のギジェルモ・リゴンドーが激突する一戦だ。主役の5人が3カ月間に“そろい踏み”することで、タイトル統一に向けたシナリオが加速する。
カシメロは井上を挑発しつつ対戦が実現しない、いわば因縁の相手。個人的な希望をいえば、キューバの老雄を強烈に退けて、井上のライバルとして存在感を示してほしい。4団体統一戦の相手は、老獪なテクニシャンよりも勢いある暴れん坊がふさわしい。
それにしても、井上のライバルに3人のフィリピン人(ダスマリナス、ドネア、カシメロ)がそろうとは、どういうことだろう。まさにフィリピン包囲網だ。カシメロが順当に勝てば、3試合連続でフィリピン人とベルトを争うことになる。“聖地”での防衛戦はスリリングなクライマックスへの序章となる。
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著者プロフィール
牧野森太郎●フリーライター
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。