新型コロナウィルスにより1年延期された東京オリンピック・パラリンピックは23日(金)に開幕する。テニス競技は7月24日(土)から8月1日(日)までの開催となり各国の代表選手が東京・有明テニスの森に集結。
今回のオリンピック・テニス競技には46カ国が参加し、日本選手は自国大会での熱戦に胸を躍らせている。(※出場情報は7月19日時点)
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■大坂なおみにかかる金メダルの期待
先ず、世界ランキング2位アスリートでメンタルヘルスの重要性を訴え全仏オープンを棄権し、「うつ病」であることを告白、そこから約2か月の休養を経て今大会で復帰するの大坂なおみが注目度ナンバー1だ。先日、『TIME』紙のインタビューで「It’s OK,Not Be OK――大丈夫じゃなくても大丈夫」というタイトルで現在の自身の気持ちと騒動の詳細を明かし、コート外でも脚光を浴びている。
大阪で生まれ3歳まで日本で育った彼女は「東京でプレーすることにこれ以上ないほど興奮しています。日本を代表することは私にとって大きな意味がある。私が生まれた場所であり、母の母国でもあります。金メダルは私の人生の目標の一つですし、日本のファンの皆様に誇りに思ってもらえるようなプレーをしたいと思います」と自身のルーツに対し特別な思いを胸に東京オリンピックを戦う。
そして2度目のオリンピック選出となった土居美咲は「自分が思っていたよりも嬉しい」と代表内定に喜びを噛みしめた。同じく2度目のオリンピック参加となる日比野菜緒は「精いっぱいのプレーで恩返ししたい」と感謝の気持ちをパワーに変えて戦う。
女子ダブルスには今季ツアー4勝を上げ、先日のウィンブルドンで準決勝に進出した青山修子/柴原瑛菜と、ジュニア時代から切磋琢磨し同い年である日比野菜緒/二宮真琴が代表権を獲得した。日比野/二宮は直近で今年4月のBNPパリバ・テニス選手権イスタンブールでペアを組み準優勝している。
また16組の混合ダブルスのエントリーは、7月27日に会場で決定される。
■海外からのオリンピック出場選手
女子は先日のウィンブルドン優勝のアシュリー・バーティ(オーストラリア)が初めてのオリンピックとして東京大会に参戦する。「オーストラリア人にとって最高の名誉であり、緑と金のユニフォームを着るときが待ち遠しい。」と若きジュニア時代から国を代表し戦ってきた世界No.1は更なる飛躍を誓い、金メダルを目指す。
世界ランキング3位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)、今季WTA初タイトルを獲得し、ウィンブルドンでもベスト8に進出したアフリカ人女性の星、オンス・ジャバー(チュニジア)も大会を盛り上げる一人だ。そして、昨年の全仏覇者であるイガ・シフィオンテク(ポーランド)、ウィンブルドン準優勝のカロリナ・プリスコバ(チェコ)にも期待がかかる。
果たして金メダルは、大坂の手に渡るのか、それとも…。すべての選手が栄光に向かい、夏の東京をさらに熱くさせる。
オリンピックに参加しない意志を表明していた選手たちの中には、シモナ・ハレプ(ルーマニア)、セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)、ソフィア・ケニン(アメリカ)、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)とグランドスラムタイトルを持っている4名が欠場する。ほかにも、未来のスターと期待される17歳のコリ・ガウフ(アメリカ)は、参加予定だったが新型ウィルスへの感染が確認されたため、欠場することを明らかにしている。
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著者プロフィール
久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員
1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動をはじめ後世への強化指導合宿で活躍中。国内でのプロツアーの大会運営にも力を注ぐ。