【東京五輪/野球】田中将大、今季成績から見え隠れする「不安要素」 侍最年長右腕は新たな伝説を残すか

 

【東京五輪/野球】田中将大、今季成績から見え隠れする「不安要素」 侍最年長右腕は新たな伝説を残すか
侍ジャパン・田中将大(C)Getty Images

東京五輪に臨む野球日本代表「侍ジャパン」メンバー24名の中で唯一、前回2008年の北京五輪を経験しているのが、田中将大(楽天)だ。32歳、チーム最年長として、日本に悲願の金メダルを届けることができるのか。

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■実績は十分も懸念はコンディション面

実績は申し分ない。駒大苫小牧高で2年夏に全国制覇(3年夏は準優勝)を成し遂げ、2006年のドラフト会議で4球団から1位指名された末に楽天に入団。プロ1年目から2ケタ11勝(7敗、防御率3.82)をマークすると、5年目の2011年には19勝5敗、防御率1.27で最多勝&最優秀防御率に沢村賞を受賞。そして2013年は24勝0敗1セーブ、防御率1.27の無双ぶりでリーグ優勝、日本一の原動力になった。

さらに2014年からは海を渡り、ヤンキースで6年連続2ケタ勝利をマーク。MLB通算7年で78勝(46敗、防御率3.74)を挙げ、アメリカでも高い名声を得た。

懸念はコンディション面だ。8年ぶりの日本球界復帰となった今季、シーズン初登板となった4月17日の日本ハム戦で5回4安打3失点。続く2戦目(6回3安打1失点)、3戦目(6回5安打無失点)と連勝したが、5月8日以降は再び黒星先行で、前半戦を13試合4勝5敗、防御率2.86という成績で終えた。決して悪くはないのだが、「伝説の2013年」を知るファンからすれば、ストレートの球威を含めて物足りないパフォーマンスであることは否めない。さらに新型コロナウイルスのワクチン接種による副反応とみられる体調不良で今夏のオールスター戦での登板を回避。そこからの回復具合も気になるところだ。

■「一発に泣く」展開を回避できるか

さらにデータ面で気になるのは被本塁打率だ。2013年は0.25だったが、今季は1.06。13試合85イニングを投げて10本のアーチを浴びている。この1.06は、山本由伸の0.40、伊藤大海の0.44の倍以上の数値であり、非常に気になる部分。普段以上に「1点の重み」を感じる五輪舞台で「一発に泣く」という展開は、重々にして考えられるだけに大きな修正ポイントと言えるだろう。

だがそれでも、今季の防御率は2点台をキープしており、打線の援護さえあれば勝ち星も先行していたはず。何より、高校時代から一発勝負の大舞台を多く経験し、2008年の北京五輪だけでなく、2009年、2013年のWBCにも出場。メジャーでも結果を残した男の存在感は、他の追随を許さない。日本球界復帰会見の際も「金メダルを取りたい」と公言しており、意気込みは人一倍。マー君伝説の新たな1ページに、今夏の“熱投”が記されると、信じている。

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記事提供:ベースボール・タイムズ
データ提供:野球DB