【東京五輪/ボクシング】入江聖奈、金メダルへ王手「歴史の扉を開くため」決勝はライバルとの熱戦必至

入江聖奈(C)ロイター

東京五輪ボクシング女子フェザー級・決勝は3日、両国国技館で行われ、入江聖奈(日体大)とネスティ・ペテシオ(フィリピン)が対戦する。

女子ボクシングがオリンピックに採用されたのは、2012年のロンドン大会から。今回で3大会目となるが、日本選手は出場することすら初めてだ。すでに銀メダル以上が確定しており、決勝戦に勝てば、初挑戦で金メダルという快挙になる。

【速報】フェザー級入江聖奈が「金」 初出場で女子ボクシング初の“金メダル”獲得!

■“歴史の扉を開く”ために戦う20歳

入江は鳥取県米子市出身。聖奈(せな)という名は伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナから取られた。2019年に出場した世界選手権でベスト8という実績はあるが、国際舞台での経験はまだ浅い。それでも、インタビューのたびに「金メダルを獲る」と大きな夢をアピールしてきた。

その背景には、女子ボクシングの知名度を上げたい、という目標がある。準々決勝の後には、「歴史の扉が5ミリ開いた」と発言、準決勝後には「5センチ(開いた)」とはにかんで答えた。笑顔でリングに登場する姿が初々しい20歳が大仕事に挑む。

■安定感のある“アウトボクシング”で勝ち上がる

入江のファイティングスタイルは、フットワークを活かしたアウトボクシングだ。ジャブを打ちながらワンツーのタイミングをはかり、相手が出てくれば左右のストレートでカウンターを狙う。フック系のパンチは少ないが、基本のストレートを自分の強みと信じて戦う姿に安定感を感じる。

マリアクラウディア・ネクタ選手(ルーマニア)との準々決勝では、第1ラウンドを互角で終えると、第2ラウンドに主導権を握ってリード。最終3ラウンドは勝負をかけた相手に押し込まれたが、タイミングのいいカウンターパンチで応戦。3-2と際どい判定をものにした。

準決勝で対戦したカリス・アーティングストール選手(英国)はサウスポーのテクニシャン。2019年の世界選手権で銅メダルに輝いた実力派だ。入江は難敵を相手に1ラウンドから身上のジャブ、ワンツーでペースをつかみ、5人のジャッジ全員の支持を得た。しかし、アーティングストールもプレッシャーを強めて2ラウンドを取り、勝負はまたしても最終ラウンドへ。

手数で勝るアーティングストールとカウンターを狙う入江の争いは、一進一退のままスコアカードへ。「負けたと思った」という入江は不安な表情でコールを待つ。そして、勝者を告げられた瞬間、「雄叫びを抑えられなかった」と両手を突き上げた。川端雅彦コーチは、「入江選手の正確さが上回っていた。(決勝戦も)強気でいってほしい」と、愛弟子を祝福した。

■テクニックで勝負、決勝戦の相手はフィリピン人のサウスポー

決勝戦でグローブを交える相手は、フィリピンの小柄なサウスポー、ネスティ・ペテシオ、29歳だ。今大会の戦績では、なんといっても2回戦の林郁婷(台湾)戦が光る。2019年世界選手権の金メダリストで優勝候補筆頭に挙げられていた長身選手にテクニック戦を挑み、見事に攻略した。

また、準決勝のイルマ・テスタ(イタリア)戦では、1ラウンドを明確に取られながらも2ラウンドを取り返し、最終回も4-1で競り勝つ勝負強さをみせた。近年、フィリピンは世界のボクシング大国にのし上がった。かつては、ハングリーさばかりが目立つ荒っぽいボクシングだったが、マニー・パッキャオの登場以降、テクニックに磨きがかかった。その勢いがアマチュア界にも浸透していることをペテシオが体現している。

入江vsペテシオは、いい試合必至だ。ジャブで距離を保ちながらカウンターを打ち込めば入江、体を振りながら素早くステップインできればペテシオとみる。オーソドックスとサウスポーのポジション争いも見どころとなる。今大会でも、リンチの多い揉み合いの試合が目立つが、決勝戦はクリーンなテクニック合戦が楽しめそうだ。

忘れてはいけないのが、もうひとりの女子ボクサー、フライ級の並木月海(自衛隊体育学校)選手だ。彼女も準々決勝を突破して銅メダル以上を確定させた。こちらはグイグイと前に出るファイター・タイプ。ふたりそろって金メダル獲得となれば、扉はバーンと大きな音を立てて“全開”となる。

【速報】フェザー級入江聖奈が「金」 初出場で女子ボクシング初の“金メダル”獲得!

◆田中亮明が4強進出!銅メダル以上確定 男子フライ級で61年ぶり

◆日本代表6名の強みとは 岡澤セオンはメダル獲得で一気にブレイクの予感も

試合情報

入江聖奈(日本)-ネスティ・ペテシオ(フィリピン)
試合開始:8月3日(火)13:05
中継情報:NHK Eテレ/サブチャンネル 10:50~

著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「自分自身を生きるには 森の聖人ソローとミューアの言葉」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします