【東京五輪】Tokyo2020に咲くはずだった華「バスケットボール3×3 チアダンサーズ」を追いかける

 

■「あのチアダンサーがいるから試合を見にいきたい」が目標

今回取材した『3×3 チア・ダンサーズ』も、そんな背景を踏まえて集められたメンバーだという。ディレクターのMeme曰く、「技術やスキルはもちろんですが、それぞれにしっかりした個性と華があり、たとえ1人でも、〝映える子″であることを重視して選びました。これまでの経歴もNBAで活躍してきたり、ストリートダンサーだったりと、それぞれ本当に違います。また、チアダンサーだからといって背の高さやルックスを揃えるということはせず、あえてバラバラにすることで立ち上がる、全体のインパクトを考えました。」という個性輝く逸材揃い。

加えて「皆、チャレンジ意欲があり、急な対応を必要とされる場面でもその場を楽しめて、自ら盛り上がれるマインドの強さと明るさを持っています。3×3のコートは小さいだけでなく360度の角度から観戦できるという特徴があるので、各メンバーの活躍を間近で感じてファンになってもらい、バスケの選手だけでなく『あのチアダンサーがいるから試合を見にいきたい』と思ってもらえる存在になるのが全員の目標です。とにかく、私たちの笑顔を選手にも観客にも届けていきたいです。」と、目を輝かせて語ってくれた。

たった一度の結成となった「3×3 チアダンサーズ」

コロナ禍中のインタビューでもあり、取材中は全員マスク越しの会話である。それでも、「人が好き、皆に元気を届けたい」と語る彼女たちの笑顔をマスクの奥に感じる事が出来て、なんだかこちらまで嬉しく元気な心持ちになってくる。

ところで、このチアダンサーズ、12人もの妙齢女性が集まったメンバーだけに、東京オリンピックが延期された1年余りの時のなかで、各人の人生にはいろいろな変化がおこる。今回インタビューに答えてくれたArisaは結婚し渡米していたが、オリンピックのために数か月の日本滞在を決行した。このインタビューの翌日、アメリカに戻る。また、2017年12月に出産を経たAnriは、“ダンサーの身体”に戻るためのリハビリをしながら調整と練習を継続し、成し遂げた。他のメンバー達も、別の仕事やチームに所属しているなど、皆事情はそれぞれだが、コロナ禍の緊急事態宣言でスタジオレッスンが出来ない時期には、リモートで遠隔レッスンを受け、体型と健康維持のため食べるものにも気を使い、チームトレーニングを重ねてきた。いつ試合が行われ、そしてその応援が可能となるかどうかは分からないという状態で1年余りの期間、モチベーションと演技のクオリティを保つ努力をしてきたのだ。

自分達のチア・ダンスで、バスケットボール3×3を、そして日本を応援し、笑顔と元気を届ける。そう書くのは簡単だが、これをいつでも必要な時に100%の力を出し切るべく備えるということは、プロフェッショナルとしての責任感と、貢献したいという強い思い、そして継続的な努力があってこそ可能となるものだ。ディレクターのMemeも「これだけがんばった女の子たちが報われて欲しい」と切に願ったが、オリンピック会場でのチア・ダンスは叶わなかった――。それでも彼女たちは「どんな時でも夢がないと!そして、こんな時代の今こそ、エンターテイメントの力が必要だと信じています」と笑顔でこたえる。

今回、同載された動画は、Anriの提案で12人急遽が再結集し、都内のスタジオで収録されたものだ。広くて天上の高いオリンピック会場で、3×3の競技と共に披露できたらどんなに良かったことだろう、と思ってしまうのは人情だが、12人のチアダンサーズが画面越しからでも届けんようとする、プロフェッショナリズム溢れる「絶対的笑顔」と強い思いが凝縮された貴重な動画だ。見れば知らぬ間に、自分も笑顔になっていることに気が付く素敵なひとときとなるので、ぜひ視聴してほしい。

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東京オリンピック2020で、日本は金メダル27個、全メダル58個の獲得で大健闘してくれた。見守る国民も結果的に大いに盛り上がり、スポーツの持つ力はどんな時でも人々に力を与え、有効だという証明にもなった。この再認識は素晴らしいことだった。

五輪延期後、Anriの提案で再結成したメンバー

しかし、「3×3チアダンサーズ」はオリンピック限定のチームだったので、ここで解散となる。とても残念だが、今回、収録された映像を見ていたら、「もしかしたら、チア・ダンスそのものが、次回のパリオリンピックで正式種目となるブレイキン(ダンス)のように、いつかオリンピック種目になったりしないだろうか」。そんなひらめきが筆者の頭をよぎった。彼女たちは笑顔で希望の大切さを語っていた。「絶対的笑顔」で繰り出されるスポーツ・エンターテイメントがチア・ダンスだから、実現すればある意味、最強の種目となるに違いない。この素敵な予感が現実となることを夢見て祈りながら、また近い将来、この奇跡のチアダンサーズが再び結成されることを期待しつつ、筆を置きたい。

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著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー

izukawaya