【有馬記念/危険な人気馬-前編】人気の一角は“消し” 世代交代を占う今年最後のGPで「買うべきではない」1頭とは

今週は中山競馬場で第66回・有馬記念(GI、芝2500m)が行われる。今年の皐月賞馬で、前走天皇賞・秋ではコントレイルやグランアレグリアらを下すなど、黄金世代を牽引し続ける3歳牡馬エフフォーリア、このレースで引退が決まっている昨年の覇者クロノジェネシス、今年の菊花賞を制したタイトルホルダー、初GI挑戦のエリザベス女王杯で勝利し、勢いに乗るアカイイトなど豪華メンバーが出走予定だ。

ここでは有馬記念の好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてタイトルホルダーを取り上げたい。

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■5馬身差の圧勝劇だった菊花賞

まずはタイトルホルダーの前走菊花賞について分析する。

好スタートから二の足の速さで先頭に立ち、終始マイペースの逃げを打った。平均より少し早いラップを刻むと、2週目4コーナーでセファーラジエル、モンテディオら先行馬が脱落して独走状態となり、結果的に2着に5馬身差をつける圧勝だった。

近親にメロディーレーン(19年菊花賞5着)がいる血統背景を含め、これまでの戦歴からも「3歳中長距離路線でトップクラスのスタミナを保持し、逃げて長く良い脚を使える菊花賞馬」と評価できるだろう。また、過去10年で前走菊花賞組の成績が【4-1-2-4】 勝率36.4%、連対率45.5%、複勝率63.6%と好成績を収めているだけに今回も菊花賞馬に好走の期待が高まるのも当然だろう。

しかし、デビュー以降、4角で先頭に立っていないと好走できていないことに加え、今回が古馬初対戦となり、早い流れや古馬混合GI特有のペースを経験していないタイトルホルダーに一抹の不安が残る。

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■前走菊花賞組の罠

次に、有馬記念で好走した前走菊花賞組の脚質やラップタイムについて分析する。

このように、前走菊花賞組で好走した7頭のうち、大敗したトゥザワールド(14年16着)を除く6頭はいずれも菊花賞で「4角10番手以内」かつ「差し」の競馬をした後に、有馬記念でも好走していた。一方で菊花賞で逃げの手を打ち、有馬記念に駒を進めてきた昨年のバビットは13着に敗れ、19年の牡馬3冠の全てのレースで先行し、馬券内に好走していたヴェロックスも有馬記念では8着に敗れているだけに菊花賞で先行した馬は全幅の信頼は置けない。

古馬になってから「逃げの戦法」で大成したキタサンブラックも、菊花賞の時点ではまだポジション取り(脚質)が定まっておらず、差して勝利していただけに「馬群」に囲まれながら追走するラップを経験したことが後の「影を踏ませない逃げ」につながったのかもしれない。

つまり、3歳戦では「スピード」と「スタミナ」「競馬センス」の差が開いてしまう傾向にあるため、勝ち馬の印象だけではなく、レース内容と質を見極めなければならないのだ。タイトルホルダー自身は菊花賞で前半に11秒台のラップを2度、後半に11秒台のラップを3度踏むような中盤で息を入れて後半再加速する競馬をしたが、パンサラッサやキセキ、アリストテレス、ディープボンドなど強力な先行勢がいる今回の展開を考えると4角先頭で直線を迎えられるようなラップを踏めるとは考えられず、4角手前で馬群に沈む可能性も低くはないだろう。

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■阪神競馬場に舞台設定が変わった菊花賞

次に有馬記念の好走パターンについて分析する。

・3F 1位【3-2-0-6】 勝率27.3% 連対率45.5% 複勝率45.5%
・3F 2位【2-2-3-5】 勝率16.7% 連対率33.3% 複勝率58.3%
・3F 3位【1-2-1-3】 勝率14.3% 連対率42.9% 複勝率57.1%
・3F ~5位【2-2-5-16】勝率8.0% 連対率16.0% 複勝率36.0%
・3F 6位~【2-2-1-96】勝率2.0% 連対率4.0% 複勝率5.0%

ゴールまでの直線距離が308mと短いコース形状になっているものの、上がり最速馬が連対率45.5%と好調で、昨年はサラキアが上がり最速の末脚を繰り出し2着、19年には上がり最速をマークしたリスグラシューが有終の美を飾り、18年の上がり最速馬だったレイデオロが2着に好走しているように近年は差し馬の台頭が目立っている。

また、先行馬の好走条件を分析すると、いずれも後半に11秒台のラップを2~3度計測するような「逃げて差す」競馬をしていた。タイトルホルダーも菊花賞で後半に11秒台のラップを3度計測していたが、今年の菊花賞の舞台は平坦な京都競馬場ではなく、3コーナーから直線付近まで下り坂となっている阪神競馬場で、逃げ馬は3コーナーからスピードに乗りやすいため自然に11秒台のラップが出てしまったともいえる。つまり、意図して後半に11秒台のラップを「刻んだ」のではなく、意図せずに11秒台のラップを刻んでしまったタイトルホルダーにとって、ほぼ平坦の中山競馬場に舞台が変わることは決してプラスではないことからも、GI特有の早い流れについていけない可能性が高い。

以上の不安点から馬券の妙味を考えると、タイトルホルダーは「消し」の評価。

後編」ではタイトルホルダーに代わる本命、そして穴馬4頭を含めた結論を紹介する。

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文・西舘洸希(SPREAD編集部)


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