【Bリーグ】千葉ジェッツ新指揮官ジョン・パトリックHCが見つめる日本バスケの進化

 

【Bリーグ】千葉ジェッツ新指揮官ジョン・パトリックHCが見つめる日本バスケの進化
新設された「ロックアイス・ベース」にて開幕前の取材に応えるジョン・パトリックHC 撮影:SPREAD編集部

■海外へもユースへも若い頃からのチャレンジを勧める

今、NBAで活躍する八村塁(ワシントン・ウィザーズ)や渡邊雄太(ブルックリン・ネッツ)、過去には田臥勇太(宇都宮ブレックス)もその舞台に立った。アメリカへ留学した彼らのことも含め「本人たちの努力と苦労があり、決して簡単ではなかった」と、パトリックHCの表情は一気に引き締まった。

日本がさらに成長を遂げるためには若い世代からの育成と挑戦は欠かせない。日本人の海外挑戦については「決して遊びじゃない、本気の挑戦。覚悟があるなら早めに行きなさい」と上を目指す選手へ伝えたい。言葉の壁や家族との距離など問題も多いが、「人材育成をどう考えるかだ」と指摘。バスケの場合、アメリカに渡る選手も多いが「ドイツは治安もいいし日本と似ている。おすすめ」と語るHCを見ていると、まだまだこれからも日本で多くの“息子”を育ててくれそうだと思えた。

もちろん海外へ挑戦することだけがすべてではない。来日から1カ月、「Bリーグはチーム数も多いし、高校生や大学生や若い選手も能力があると思う。もっと早く、高校くらいからBリーグにトライした方がいいのでは」と感じている。スロベニア代表として東京オリンピックにも出場し、日本代表とも対戦したダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチの名をパトリックHCは挙げた。ドンチッチは13歳の時にはスペインのレアル・マドリードと契約を結んだ。

パトリックHCが長く指揮者として活躍したドイツのバスケットボール・ブンデスリーガでも「15、16歳からプロに入りレベルがとても高くなっていく」という。ドイツ出身のNBA選手も徐々に増えている。かつては、シアトル・スーパーソニックスをNBAファイナルに導いたデトレフ・シュレンプ、近年ではダラス一筋2019年に引退したダーク・ノビツキー、今シーズンはロサンゼルス・レイカーズと契約したデニス・シュルーダーなど「7人のNBAプレーヤーがいる」。

それでも国民的人気スポーツはサッカー。ただ、「私が行った時(バスケは)もっともっとマイナースポーツだった。それでもメインスポーツへとドイツも変わっていった」そうだ。スピード、フィジカルなど初めてドイツのバスケと向き合った2002年とは大きく変わった。日本もBリーグとともに発展途上。「日本では同じ世代の子とプレーをしているが、レベル向上のためには世代を超えてプレーをすることも必要。ユース世代の若い選手がBリーグにはいない」と訴える。

日本でも多くの後進を育ててきたパトリックHCが、またも日本のバスケに変革をもたらすか (C)千葉ジェッツふなばし 撮影:Keisuke Aoyagi

パトリック体制になり、千葉JはU18に所属する藤井暖がトップチームの練習に参加するなど変化がある。もちろん16歳の藤井にとって刺激的な経験であるのはさることながら、20代前半の若い選手も「ロールモデルの役割を果たし新たなチームケミストリーを生んだ」という。「大倉颯太や二上耀には負けたくないという気持ちが芽生えていたと思う」とユースから刺激を受けたのも事実。新しい風が吹き始めている。

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新たな千葉Jは「どんなスピードでどんなプライドを持っているかやっているか。ハードなスケジュールでもどんなハードなディフェンスで頑張るか見てほしい」と語る。そして「練習にはもう飽きちゃった」がインタビューの最後の言葉だった。

シーズンの開幕を待ち遠しく感じていたのは誰よりも新指揮官かもしれない。いよいよ16年ぶりの日本での戦いが始まった。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)
●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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