FIA世界ラリー選手権(WRC)2023年シーズンは19日、モナコからフランスにかけて開催される伝統のラリー・モンテカルロで開幕を迎える。WRCは23年も1911年からの歴史を誇る本戦を皮切りに22年、12年ぶりにカレンダーに復帰した11月のラリー・ジャパンまで全13戦が行われる。
目次
■2023年世界ラリー選手権カレンダー
第1戦 ラリー・モンテカルロ(1月19~22日)
第2戦 ラリー・スウェーデン(2月9~12日)
第3戦 ラリー・メキシコ(3月16~19日)
第4戦 クロアチア・ラリー(4月20~23日)
第5戦 ラリー・ポルトガル(5月11~14日)
第6戦 ラリー・イタリア・サルディニア(6月1~4日)
第7戦 サファリ・ラリー・ケニア(6月22~25日)
第8戦 ラリー・エストニア(7月20~23日)
第9戦 ラリー・フィンランド(8月3~6日)
第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ(9月7~10日)
第11戦 ラリー・チリ(9月28日~10月1日)
第12戦 セントラル・ラリー・ヨーロッパ(10月26~29日) オーストリア、チェコ、ドイツ
第13戦 ラリー・ジャパン(11月16~19日)
■第8戦ラリー・エストニア
■第7戦サファリ・ラリー・ケニア
■第6戦ラリー・イタリア サルディニア
■第5戦ラリー・ポルトガル
■第4戦クロアチア・ラリー
■第3戦ラリー・メキシコ
■第2戦ラリー・スウェーデン
■開幕戦ラリー・モンテカルロ
■ロバンペラとエバンスがフル参戦、勝田もスポットでWRTへ
やはり注目は昨年、ドライバーズ・タイトル、マニュファクチャラーズ・タイトルなど完全制覇を果たしたTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamだ。史上最年少の22歳で王者となったカッレ・ロバンペラは今季もヨンネ・ハルットゥネンと組んで参戦。トヨタは他にエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組、そして凱旋レースのラリー・ジャパンで3位表彰台に上がった日本の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組の計4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDを送り込む。
◆ラリージャパン2022 3度目の表彰台獲得、トヨタの勝田貴元が「もっと自信をつけ来年はリベンジ」と決意表明
最高峰カテゴリーがそれまでのWRカーから、ハイブリッドシステムを搭載するRally1 HYBRIDへと移行した昨シーズン、トヨタは年間7勝を記録。新シーズンはGR YARIS Rally1 HYBRIDをさらに改善。ハイブリッドシステム冷却のためのクーリングインレットを含む、リヤのボディワークを変更。パフォーマンスをさらに高めるために、新しいスペックのエンジンも導入するなど、総合性能の向上を目指した。
ドライバーは、ロバンペラとエバンスが全戦参戦。3台目のシートを昨年1勝を挙げたオジエと表彰台を2回獲得した勝田がシェアする。勝田はオジエがエントリーしないラリーではチームの3台目として出場し、それ以外のラリーでは引き続きTGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場。今季もWRC全戦に出場する。
■「チャンピオンシップを守るのは決して簡単ではない」とロバンペラ
TGRチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは「ラリーファンにとって、シーズンの始まりはいつも非常にエキサイティングな瞬間ですが、今年もそれは変わりません。どのチームにも勝つチャンスがあるため、今シーズンはよりタフでチャレンジングな戦いになると思います。それでも、我々はこのチャレンジが好きですし、勝つために真剣に戦うことを楽しんでいます。もちろん、ターゲットは3つのタイトルを再び獲得することであり、それを実現しなくてはなりません。我々には強いクルマがありますが、ハードワークを続ける必要があることも、昨年よりも改善しなければならないエリアがあることも理解しています。毎年、どこを改善すればいいかを考えなければなりませんが、今年もいくつか変更を施しました。競争力と信頼性を備えたクルマがあり、ドライバーもクルマに慣れていて、良い結果を出したがっているので、全てにおいて準備は整っています。開幕戦のラリー・モンテカルロは、シーズン中最も難しいラリーです。初日の木曜日の夜、暗闇の中で行われるステージはドライバーにとって大きな挑戦ですが、最終日に良い結果を出してシーズンをスタートできることを願っています」とコメントを寄せた。
またディフェンディング・チャンピオンのロバンペラは「新しいシーズンの開幕を前にして、とても良いフィーリングです。チャンピオンシップを守るのは決して簡単なことではないと分かっていますし、競争のレベルが常に上がっていく様を見てきました。だからこそ、自分たちの力を高めハードにプッシュし続けなければなりません。チームは引き続きクルマの性能を最大限に引き出し、より速く、強くするために素晴らしい仕事をしてくれています。ラリー・モンテカルロは特別なイベントなので、シーズンの開幕は例年少しトリッキーでナーバスになります。それでも、クルマが完全に新しくなった昨年に比べれば、自信を持ってラリーに臨むことができますし、全てが正しい方向に向かっているので、昨年よりも落ち着いてスタートを切ることができるはずです。ラリー・モンテカルロでクリーンな走りをするのは決して簡単なことではありませんが、シーズンを確実にスタートするためにも、そのような走りをしようと考えています」とその意気込みを語った。
■迎え撃つはヌービル、タナックか……
迎え撃つはラリー・ジャパンでトヨタ勢の凱旋勝利を阻み優勝を果たしたティエリー・ヌービルを始めとするヒョンデ・シェル・モビスWRT。他ヒョンデi20 Nラリー1を駆るのは、ダニ・ソルド、トヨタから移籍したエサペッカ・ラッピ。
Mスポーツ・フォードWRTからは、ヒョンデから移籍したオィット・タナックと初のフル参戦となるピエール-ルイ・ルーベが、フォード・プーマ・ラリー1で参戦する。
トヨタは2019年よりドライバーズおよびコ・ドライバーズ部門を4年連続で制しており、もちろん5連覇に挑む。また2021年からはマニュファクチャラーズ部門も連覇しており、2023年は3年連続で3冠を目指す。さらには昨年成し遂げられなかったラリー・ジャパンでの母国凱旋優勝を果たし、日本のラリーファンの声援に応えたいところ。さらには勝田が表彰台の頂点に立つ日は来るのか。興味は尽きないシーズンとなる。
なお、マニュファクチャラーズ部門は、かつて6連覇を果たしたランチアが10度、セバスチャン・ローブとともに黄金期を築いたシトロエンが8度獲得しており、現在6度のトヨタがこれを追う。また連覇を果たしたドライバーは、これまで9連覇を果たしたローブ、6連覇のオジエ、他ユハ・カンクネン、トミ・マキネン、ミキ・ビアシオンの5名しかおらず、ロバンペラはこの偉業に挑戦する。
■世界ラリー選手権2022年シーズン
■WRCラリー・ジャパン特集
文●SPREAD編集部