今週末は、第91回日本ダービー(東京優駿/GI、東京芝2400m)が行われる。
無敗の皐月賞馬に輝いたキズナ産駒ジャスティンミラノ、同レース2着のアルアイン産駒コスモキュランダ、ウオッカ以来の牝馬によるダービー制覇に挑むスワーヴリチャード産駒レガレイラなど、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
◆【日本ダービー(東京優駿)2024予想/追い切り診断】ジャスティンミラノに迫る高評価「A」 “こだわり”の調整でパフォーマンス向上
目次
■ジャスティンミラノは明らかな短距離血統
今年の1番人気想定はジャスティンミラノ。まずは同馬の配合について考えたい。
母マーゴットディドは5FのGI勝ち馬、母父は豪州でスプリントGI2勝のエクシードアンドエクセル。明らかな短距離血統だ。
その一方で父はキズナ。確かに2400mの日本ダービーは勝っているものの、古馬芝2400m以上のGIにおける好走歴はなく、2回挑戦した春の天皇賞はいずれも4着以下に敗れている。
父ディープインパクト×母父ストームキャットの牡馬は、リアルスティール、ダノンキングリー、サトノアラジンと、1600-2000mベストに落ち着くことが多かった。キズナもエピファネイアを完封した産経大阪杯を見るかぎり、2000m以下の距離がベストの中距離馬だったように思う。
古馬2400m向きの父に短距離要素のある母の組み合わせであれば、ダービーで求められるスタミナと仕上がりの早さを両立できたわけだが、果たして2000m向きの父と短距離馬の母との配合で話は同じようにいくのかどうか? スタミナ成分がやや不足しないかという点が気がかりだ。
■皐月賞の勝ち時計が“マイラー説”を加速
加えて気になる要素がもう1点。
過去、皐月賞を1分58秒9以内の時計で勝った馬はジャスティンミラノ以外に8頭いるのだが、その8頭のダービー成績は【1.0.1.6】で勝率12.5%、複勝率25.0%に留まる。
馬券になったのは2015年のドゥラメンテと2016年ディーマジェスティ。ドゥラメンテの母はエリザベス女王杯連覇のアドマイヤグルーヴ、ディーマジェスティの母エルメスティアラはブライアンズタイム×サドラーズウェルズ×ドフザダービー(英ダービー馬ジェネラスの母)といういずれ劣らぬ重厚な血統だった。
反対にサンデーサイレンス×ノーザンテーストのダイワメジャーやローエングリン×サンデーのロゴタイプなどは3着を外す結果に終わった一方、古馬になってからマイルの距離でGIを制した。
高速決着の皐月賞を制す馬は本質的にマイルから2000m向きであり、ダービーで連続好走するためには母からスタミナ成分を押さえておく必要があるようだ。
以上の2点から、中距離馬の父×短距離馬の母という配合かつ皐月賞を破格のレコードで制したジャスティンミラノは本質的にマイラーなのではなかろうか? という仮説が立てられる。皐月賞のパフォーマンスから抜けた人気に支持されることが想定されるが、ラスト1Fで止まるリスクも織り込んで予想すべき、というのを今年の日本ダービー予想の立脚点としたい。
■ビザンチンドリームはエフフォーリアと似た配合形
その他系統として注目したいのはエピファネイア産駒。今年の該当馬で取り上げたいのはビザンチンドリームだ。
父エピファネイア、母父ジャングルポケットはいずれも古馬12Fタイプであり、ここだけ見るとダービーではちょっと足りないようにも思えるが、祖母グリッターカーラはクイーンC勝ち馬ライラプスの全妹で、朝日杯FS勝ち馬フサイチリシャールの半妹にあたるマイラー血統。
母父が古馬12Fタイプの種牡馬で、母母が短距離からマイル血統というのはエフフォーリアと似た配合形であり、祖母マイラーというのはデアリングタクトと似ているパターン。エピファネイア産駒が3歳春に東京芝2400mのGIで勝ち負けするための組み合わせと判断して良かろう。
レースが下手で出遅れからの外ぶん回しはもはやお決まりではあるが、それだけに広い東京コースに替わるのは魅力的だ。
皐月賞凡走からの日本ダービーでの巻き返しはトニービンのお家芸。母父ジャングルポケットも皐月賞で出遅れて3着に敗れたのちダービーを制した。デビュー戦の勝負どころで見せた脚はGIを意識させるに十分なものだったし、この大舞台で一発に期待する手はある。
あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。