2020年以来のワールドシリーズ制覇を達成したドジャース。2020年はコロナ禍での短縮シーズンだったが、今年はフルシーズンかつ勝率全体1位、ア・リーグの最高勝率ヤンキースを下しての優勝という文句のつけようのない成績だ。
むろん短縮シーズンだとしても世界一の称号は変わらない。当時から監督を務めているデーブ・ロバーツ監督にとっても自身2度目となる世界一。2016年の就任以来9年間すべてポストシーズンに進出、8度の地区優勝を果たしたロバーツ監督。彼がワールドシリーズでとった名采配を振り返えってみよう。
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■過去には批判も…ポストシーズンでは絶妙な投手起用
今季開幕時のドジャースは、山本由伸投手、タイラー・グラスノー投手といった新加入の先発投手を加えたことでローテーションに厚みが増していた。しかしながら、先発陣の多くが怪我に苦しみ、特に後半戦は台所事情が非常に苦しいものとなった。そこで冴えわたったのがロバーツ監督の投手起用だ。中継ぎ陣だけで試合を構成するブルペンデーを導入する大胆な采配は、ワールドシリーズにおいては異例中の異例。7試合中4試合に勝利するための徹底した采配は、特に第4戦で光った。3回にダニエル・ハドソン投手が満塁弾を浴びて以降、起用した投手はブレント・ハニーウェル投手とランドン・ナック投手の2名のみ。中盤で試合が決まったと感じたことから、このゲームを“捨て試合”として中継ぎを温存したのだ。
しかしながら、勝負どころでは惜しみなく救援陣を注ぎ込む“マシンガン継投”をみせるのもロバーツ監督ならではだ。優勝を決めた第5戦では、先発のジャック・フラハティ投手を早々に諦め8人の継投で勝利を手繰り寄せた。過去には「ロバーツは我慢しきれずにすぐ投手を変えてしまう」と批判を浴びたこともあったが、結果的に今季の投手采配は素晴らしいものだったと言えるだろう。
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■ヤンキースに差をつけた柔軟な日替わり打線
基本的に打順を固定してきたヤンキースに対して、ドジャース打線は相手投手によって打順を入れ替える“日替わり打線”だった。特にポストシーズンの活躍が光ったトニー・エドマン内野手を9番で起用したと思えば、5番に座ることもあるなど、好調な選手に幅広い役割を求めた。実際にエドマンはワールドシリーズでも勝負どころで活躍。“影のMVP“と言ってもいいほどの輝きをみせた。
【動画】本拠地をバットで熱狂させたエドマンの活躍
敗北したヤンキースは、やはりアーロン・ジャッジ外野手の不調が痛かった。グレイバー・トーレス内野手、フアン・ソト外野手が出塁してもジャッジの打席でブレーキが掛かってしまい、どうしても打線が繋がらないというのは今ワールドシリーズでもよくみられた光景。ジャッジの打順を柔軟に入れ替える采配がヤンキース側にできていたら……試合の流れは変わっていたかもしれない。
■モチベーターとしても輝き
選手たちの気持ちを盛り上げるモチベーターとしての役割においても、ロバーツ監督は非常に優秀だったように思える。象徴的だったのが第5戦。6回2死から登板していたブレイク・トライネン投手が8回にピンチを迎えたところでマウンドに向かったシーンだ。
迷わず投手交代を選択するかと思いきや、トライネンと言葉を交わし続投を決断。その期待に応え、トライネンは後続を打ち取り見事ピンチの芽を摘んだことで、結果的にこの采配は的中した。「お前しかいない」とでも言わんばかりにトライネンを信用し続投させたロバーツ監督はベンチでは大きなガッツポーズをみせるなど、選手以上に感情をむき出しにするシーンが印象的だった。
全ては結果論となってしまう監督の采配ではあるが、複数回ワールドシリーズを制覇したことは事実。実際にドジャースの歴史上、ワールドシリーズを複数回制覇したのはトミー・ラソーダ氏とウォルター・アルストン氏の2名しかいない。しかも、両名ともに20年以上チームを率いた監督ということもあり、まさにロバーツ監督は名実ともに“名監督”の仲間入りを果たしたと言えるだろう。
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