今週は、秋の最強マイラー決定戦、第41回マイルチャンピオンシップ(GI、芝1600m)が京都競馬場で行われる。
ディフェンディングチャンピオンのナミュールをはじめ、昨年のエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ、一昨年のマイルCS覇者セリフォスといったGI馬に加え、昨年のマイルCS2着馬ソウルラッシュ、富士Sを制したジュンブロッサム、重賞2勝のエルトンバローズなど、初GIを狙う実力馬も虎視眈々。イギリスから欧州最強マイラー、チャリンが参戦するなど、実力伯仲の混戦模様だ。
そんな中、府中牝馬Sをステップに臨むブレイディヴェーグが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■マイル初経験、古馬牡馬と初対戦と、厳しい条件が重なる
昨年のエリザベス女王杯で、3歳ながら古馬を蹴散らしてニューヒロイン誕生となったブレイディヴェーグ。今年は3月にドバイターフを目指していたが、飛節後腫を発症して長期休養へ。しかし、復帰戦となった前走の府中牝馬Sでは上がり最速タイの末脚を披露し快勝。能力の高さを証明してみせた。
今年は連覇のかかるエリザベス女王杯ではなく、マイルCSへ駒を進めてきたが、これが吉と出るか凶と出るか、筆者は後者になると踏んでいる。
まず、今回がブレイディヴェーグにとって初めてのマイル戦という点。マイルCS過去40回の歴史の中で、マイル未経験で頂点に立ったのは、2013年トーセンラー1頭のみ。1600mを走ったことがあるという経験値が大きくモノをいう舞台だ。
また、過去10年の連対馬延べ20頭は、すべて同年の芝GIに出走していた経験あり。同年の芝GIへ不出走だった馬は、【0.0.3.44】とかなり苦戦傾向にある。たとえGI馬とはいえ、今年は前走の一戦のみで臨む点は大きな減点材料だろう。
その前走府中牝馬S組も、過去10年では【0.0.1.5】と相性は良くない。さらにブレイディヴェーグは過去3戦、牝馬同士のレースに出走しており、古馬牡馬とは初対戦。過去10年で3着以内に入った牝馬4頭はすべて、それ以前に重賞で古馬牡馬と対戦して勝つ経験値を持っており、その実績がない点も懸念される。
過去10年のマイルCSでは、10番人気以下の3着以内はなし。比較的堅い一戦であるが、1番人気は【2.1.1.6】、2番人気は【0.4.1.5】と、わずか2勝にとどまっており、その2勝はどちらもグランアレグリア。他に牝馬では、22年2番人気3着のソダシと、上位人気に支持された牝馬はいずれも牡馬顔負けの実力馬だった。
鞍上ルメールに前走のパフォーマンス、GI馬であることから、1 or 2番人気に支持されることが必至のブレイディヴェーグ。だが、マイル未経験である点や、これまでの男勝りの牝馬と比べると人気ほどの信頼感は置けない。ここは妙味はないと判断し、思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。