【マイルCS/全頭診断】エリ女に続く波乱決着も “第二のラヴェル”候補は「馬券内80%」ローテ該当馬

【マイルCS/全頭診断】エリ女に続く波乱決着も “第二のラヴェル”候補は「馬券内80%」ローテ該当馬

今週は京都競馬場で、第41回マイルCS(GI、芝1600m)が行われる。昨年のエリザベス女王杯覇者・ブレイディヴェーグ参戦でより厚みを増した好メンバーが淀の舞台に集結した。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬17頭の全頭診断を行う。

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■マイルチャンピオンシップ2024 出走予定馬全頭診断

・アルナシーム

3勝クラス以上の芝1600mは【0-0-0-5】。狙うなら1800m替わりだろう。

・ウインマーベル

今回がキャリア初のマイル戦。芝1400m重賞で3勝を挙げるスペシャリストで、次走阪神Cに向けて間隔をあけすぎない狙いでの参戦か。ここで評価を上げるには至らない。

・エルトンバローズ

関西圏では【2-3-0-1】とほとんど大崩れなし。昨年の本レース4着を境に連対圏まで届かないレースが続いているものの、得意条件を使われなかったことから情状酌量の余地はありそうだ。斤量差があったとはいえ、3歳時にソングライン、シュネルマイスターを下した実力馬。人気の盲点が予想されるここはオッズ妙味を感じる1頭と言える。

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・オオバンブルマイ

競馬場、距離を問わずコンスタントに上がり3F上位の脚を使う馬。ただ、その切れ味と引き換えにテンのダッシュ力は皆無と言い切れるレベルだ。ハイペースが見込めないメンバー構成かつ、人気上位が予想される馬の脚質は差し追込。展開面のアドバンテージを得られる可能性は低く、変わり身は望み薄か。

・コムストックロード

芝1600mは【0-0-0-5】馬券内ゼロ。厳しい。

・ジュンブロッサム

上がり3F33秒台はもちろんのこと、32秒台の脚を使うことも珍しくない馬。その切れ味が活きるGIは東京、阪神芝外回り、そして京都芝外回りに限られる。道悪では極端にパフォーマンスが落ちるタイプゆえ馬場コンディションは注視したいところだが、3走前楽勝の舞台設定替わりなら再度の末脚炸裂を警戒したい。

・セリフォス

5歳秋以降のダイワメジャー産駒のGI成績は【0-0-0-31】。このなかには2番人気内馬も2頭含まれていたが、馬券内は叶わなかった。4歳春までは先着をはたしていたソウルラッシュに近走は先着できなくなっており、強調材料は乏しい。

・ソウルラッシュ

5歳春までは危うさを感じる馬だったが、5歳秋以降の国内レースは【2-2-1-0】。敗れたレースでも勝ち馬と0秒1差以内にとどまっており、心身ともに今がキャリアピークなのだろう。かつては苦手だった東京芝1600mも、近走は安定。稍重-重【4-0-1-0】と現役屈指の道悪適性を誇る馬でもあり、当日の京都が雨で馬場悪化なら信頼度はグンと増す。

・タイムトゥヘヴン

一度使われた京都芝外回り1600mは掲示板外。中山マイルがもっとも合う現状から、条件不適の感は否めない。

・チャリン

欧州トップクラスのマイラーが引退レースにマイルCSを選択。キャリア絶頂期の馬としては異例のローテーションだ。ジャック・ル・マロワ賞で記録した1分33秒98はゴルディコヴァ(GI通算14勝)、ムーンライトクラウド(GI通算6勝)に次ぐ同レース歴代3位。ロンジンワールドベストレースホースランキングのレーティング“122”はジャパンCに参戦予定のオーギュストロダン、凱旋門賞馬ブルーストッキング、安田記念勝ち馬ロマンチックウォリアーと同じで、春に続いてマイル路線を外国馬が制圧する可能性は十分だ。

・ナミュール

昨年の本レース勝ち馬。当時は藤岡康太を背に直線ですさまじい切れ味を発揮した。その後も香港マイル3着、ドバイターフ2着、安田記念2着と国内トップマイラーであることを証明。個人的に5歳牝馬の秋初戦はあまり信用したくないが、昨年のパフォーマンスを見せられてノーマークにする選択肢はない。

・ニホンピロキーフ

リステッド競走でも馬券外が続く現状。馬場が向いたとしても掲示板の下のほうが精いっぱいか。

・バルサムノート

前走富士Sを見るより、条件次第でマイルはこなせる。とはいえ本質的に高速馬場でこそのタイプで、開催が進んだ京都の馬場が合うとは思えない。

・フィアスプライド

距離短縮ローテは【2-2-0-1】掲示板外なし。前走府中牝馬Sを叩き台に使う臨戦過程は陣営のプラン通りと言えるだろう。先行馬総崩れの安田記念で4角3番手から勝ち馬と0秒5差は立派。枠の並び次第で印を打ちたくなるヒモ穴候補だ。

・ブレイディヴェーグ

昨年のエリザベス女王杯勝ち馬がマイルに参戦。これだけでも異例なのだが、この馬自身マイル経験がなく、馬主の使い分けを否が応でも感じるローテーションだ。芝2200mだったとはいえ、開催終盤の京都芝外回りだったエリザベス女王杯は標準レベルのパフォーマンス。高速馬場なら牡馬も含めた国内トップクラスだが、馬場コンディション次第で印の位置を変えたい。

・マテンロウスカイ

強豪が揃った前走天皇賞・秋5着馬。メンバーレベルとして中距離GI>マイルGIであることに疑いようはなく、そのなかでの5着は高く評価すべきだろう。急坂をグイグイ駆け上がるパワー型ゆえ、京都芝外回りコースは決してベスト条件とは思わないが何らかの印は必要か。

・レイベリング

昨年秋以降の馬券内は芝1400mに限定。今回は厳しいがその距離なら重賞級だと思うので、阪神Cに出走した際の穴馬候補として気に留めておきたい。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年11月14日 18:00公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。