【セントウルS/危険な人気馬】新スプリント王を狙う新興勢力は“消し” 「夏休養のローテが仇となる」

 

【セントウルS/危険な人気馬】新スプリント王を狙う新興勢力は“消し” 「夏休養のローテが仇となる」

1着馬にスプリンターズSの優先出走権が与えられる第37回セントウルS(GII、芝1200m)が行われる。

今年の阪急杯を制し、前走は果敢に香港へ遠征したアグリや、昨年のニュージーランドT覇者ジャングロといった新勢力に対し、2021年スプリンターズSを制したピクシーナイトや、昨年の朝日杯FS覇者ドルチェモアといった実績のあるGI馬が激突する。

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そんな中、3歳のスピードスター、ビッグシーザーが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

■人気を背負うには荷が重い

ビッグシーザーは、デビューから一貫して芝1200m戦を使われ、3戦目の未勝利戦からオープン特別3勝を含む、破竹の4連勝。重賞初制覇を狙った前走の葵Sでは3着に敗れたものの、勝ち馬から0秒1と差はわずかで、ここまで同世代の短距離戦線を牽引してきた存在だ。

今回は古馬と初対戦となり、真価を問われるレース。事前の評価は高く、セントウルSでは過去10年で【7.3.0.0】と連対率100%の1番人気に支持されれば、連軸に据えるには最適の1頭だが、果たしてそこまでの信頼が置けるかといえば、答えはノーだ。

過去10年の世代別成績で、3歳馬の結果は【1.3.1.10】と、勝ち馬は1頭のみだが、連対率26.7%、複勝率33.3%は世代別でトップの数字で、比較的頼れる存在に見える。だが、3着以内の4頭中3頭は、すでに重賞勝ちの実績を持っており、残りの1頭も連対実績があった。つまり、重賞で勝ち負けしてきた実績のない3歳馬は、厳しい戦いを強いられ、この点が、まだ重賞実績のないビッグシーザーにとってマイナス材料となる。

また、過去10年の前走別成績でGIIIだった馬は【4.8.6.70】と、出走数の割には、勝率、連対率、複勝率ともにアベレージは低い。加えて、そのほとんどが、サマースプリントシリーズ(函館スプリントS、CBC賞、アイビスサマーダッシュ、北九州記念、キーンランドC)からの転戦で、それ以外のGIII組は【0.1.1.7】と、いまひとつ成績は振るわない。

休養を挟んだ「春の実績馬 vs. 夏の連戦馬」の構図になりやすい秋競馬の重賞だが、セントウルSに関しては、その勝敗は五分五分。しかし、休養を挟んだ馬のうち、上半期のGIやGIIを戦ってきた馬は好走できるものの、GIIIレベルの馬では、なかなか通用しないのが実情なのである。

父ビッグアーサーは、2016年の本レースを勝っており、ビッグシーザーが勝てば、史上初の父仔制覇の期待がかかる。しかし、先週は全弟のビッグドリームが、小倉2歳Sで1番人気に支持されて4着に敗れており、その負の連鎖も気になるところ。スプリント路線での快速ぶりや、3歳馬で古馬との斤量アドバンテージも有利と見られ、過剰に人気を集めるようであれば、妙味はないと感じ、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

izukawaya