【天皇賞秋/血統展望】2連覇の名馬と重なる“絶妙配合” 「キャリアハイのパフォーマンス」の期待大

【天皇賞秋/血統展望】2連覇の名馬と重なる“絶妙配合” 「キャリアハイのパフォーマンス」の期待大

今週末は、第170回天皇賞・秋(GI、東京芝2000m)が行われる。

昨年牝馬三冠に輝いたドゥラメンテ産駒のリバティアイランド、有馬記念を制したハーツクライ産駒ドウデュース、C.ルメール騎手騎乗のリアルスティール産駒レーベンスティールをはじめ、多彩な血統構成の馬が集結。

ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。

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■近10年で【0.0.1.10】のハーツクライ産駒

ディープインパクト産駒は通算成績【1.9.3.44】で、勝率1.8%に対して、連対率17.5%。異様なまでに2着が多く勝ち切れない。

初めて同産駒がこのレースに出走した13年以降の11回で連対しなかったのは17年と22年の2回のみ。トリッキーな「ディープ産駒2着付け」馬券をお守りで持っておくのも面白そう。

ディープ孫の出走数はまだ少ないのでこの傾向を受け継いでいるのか否かは判然としないものの、孫の代でも勝ち切れない特徴を受け継いでいる可能性も考えてみたい。

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ハーツクライ産駒は通算【1.0.1.11】で、近10年に限ると【0.0.1.10】と2着もない。直線が長いコースは同産駒にとって悪くないはずなのだが、こと天皇賞・秋に限るとイマイチ振るわない成績に終わっている。

■アーモンドアイと重なるリバティアイランドの配合

今回注目したいのは、ドゥラメンテ産駒。ここでは該当馬のリバティアイランドをピックアップする。

父はドゥラメンテ、母ヤンキーローズは豪州でGIを2勝の実績。牝系からは短距離重賞の活躍馬・ビコーペガサスやCBC賞を制したシンボリグランらが出る。この牝系を見るとジャパンCやドバイSCといった12Fのビックレースは少々距離が長かった感も。今回の2000mへの距離短縮はプラスに働くだろう。

ドゥラメンテにゴーンウエストを合わせるパターンは、タイトルホルダーやアイコンテーラーといったGI級の馬が出る好相性の組み合わせ。またドゥラメンテ産駒に限らず、トニービンとストロベリーロードを併せ持つパターンからはドウデュースやヴァレーデラルナなどが出ており、こちらも好相性のパターンとなっている。

リバティアイランドの場合は、ラストタイクーン、モンロー、エルグランセニョールを通じて名牝ベストインショウの7×5+6が発生するのもポイント。ベストインショウはヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアそして日本でもその枝葉を広げる名牝系の牝祖。

リバティアイランドの爆発的なパワー、圧倒的な加速力というのは、母父父レッドランサムに加え、このベストインショウのクロス、北米屈指の馬力を誇る名繁殖牝馬ラトロワンヌに繋がる仕掛けがポイントのひとつと見る。

キンカメのラストタイクーン→トライマイベストにセックスアピールを組み合わせてベストインショウのクロスにするのは、名牝アーモンドアイと同じやり口。このパターンはうまくバランスを取らないと、セックスアピールの馬力だけが強調され、ゴリゴリのダート馬に出ることも少なくない。実際にアーモンドアイ半姉のサンエルピスやパンドラズホープ(いずれも父キンカメ)は、コテコテのダート馬だった。

アーモンドアイの場合はロードカナロアのセクレタリアト≒シリアンシーから、リバティアイランドの場合はザールのセクレタリアト≒サーゲイロードから柔らかさも補給していたので、これらが絶妙に噛み合い、爆発的なスピードとして表現されたのだろう。

ということでリバティアイランドの配合については「アーモンドアイとやっていることはだいたい一緒です」という結論。

ならば東京の2000mは、秋天連覇のアーモンドアイと同様にリバティアイランドにとっても大好物だろう。休み明けとはいえ、今回はキャリアハイのパフォーマンスに期待できる舞台と見る。

あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。

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著者プロフィール

ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。