第170回天皇賞・秋(27日/GI、東京芝2000m)には、三冠牝馬リバティアイランド、オールカマー勝ち馬で国内GI初挑戦のレーベンスティール、有馬記念を制したドウデュースなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「レーベンスティール」を取り上げる。
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目次
■レーベンスティール
【中間調整】昨年のセントライト記念でその年の皐月賞馬ソールオリエンスを問題にせず重賞初制覇した大器だ。その後香港ヴァーズが最下位、帰国初戦となった新潟大賞典が11着と海外遠征で大きくリズムを崩したが、中4週の短期間でしっかり立て直され、59キロを背負ったエプソムCを2馬身差で勝利。そして秋初戦は逃げ馬アウスヴァールの作ったスローペースに戸惑う面も見せながら、馬群を割って伸び勝ち切った。レース後のコメントで騎乗したC.ルメール騎手が「GIでも応援して欲しい」と語ったように、素質馬がビッグレースでも勝ち負けできるまで状態をしっかり戻してきたようだ。
新潟大賞典→エプソムCと同じ中4週、秋2戦目で天皇賞・秋に臨むのは当初からの予定通り。ノーザンファーム天栄での短期放牧を経て10月上旬に帰厩し、12日に坂路15-15の初時計を出している。以降ウッド主体で心肺機能とレース感覚を練り上げるのは田中博厩舎のお家芸。1週前追いには今回も手綱を握るルメール騎手が跨り、ウッドで併せ馬をこなした。やや集中に欠ける素振りはあったものの、結局手応え圧倒で追走先着といい動きを披露している。
【最終追い切り】レース当週もルメール騎手が騎乗しウッドで併せ馬を行った。オープン馬ベジャールを追走。序盤から速いラップを刻む意欲的な調整だったが、スイスイと進んで気迫十分に相手に詰め寄る。コーナーでは若干だけ力みを見せたものの、鞍上がすぐさま制御。直線では併走相手が来れば来るだけ気持ちを乗せてギアを上げ、結局切れ味の違いで半馬身の先着とした。まったく無理をさせていなかったが、時計は5F62秒8で、まさに猛時計。
【見解】前走後に「GIでも」と語ったようにルメール騎手をオールカマー&天皇賞・秋のワンセットで確保していたのは想像に難くない。そのルメール騎手が2週続けて調教に騎乗し、1週前でしっかり感触と課題を把握。最終追いでブラッシュアップを施した。最終追いでも力みは見せたが、一瞬での制御ぶりはさすがの一言。課題とされる折り合い面はほぼ問題ないし、そもそも前走から1F短縮のGIなら、展開的に断然今回のほうが走りやすいはず。父リアルスティール、母父トウカイテイオーに彼らが掴めなかった秋盾のタイトルをプレゼントしたい。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。