【阪神JF/危険な人気馬-前編】人気先行の良血馬は“消し” 2歳女王決定戦で「買うべきではない」1頭とは

今週は阪神競馬場で第73回・阪神ジュベナイルF(GI、芝1600m)が行われる。前走ファンタジーSを快勝したウォーターナビレラ、2歳牝馬の登竜門・アルテミスSを勝利し勢いに乗るサークルオブライフ、前走赤松賞で突き抜けたナミュールらが出走予定だ。

ここでは阪神ジュベナイルFの好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」として良血馬ステルナティーアを取り上げたい。

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■牝馬ながら参戦したサウジアラビアRC

まずはステルナティーアの前走サウジアラビアRCについて分析する。

新馬戦を快勝し、2カ月の休養を挟んできたものの馬体重はマイナス4キロの442キロで出走してきたステルナティーア。五分のスタートを切り、道中は3番手でコマンドラインをマークしながら競馬を進めていた。3コーナー過ぎから行きたがる素振りをみせてしまった影響もあったのか、そのまま直線を迎えると先に抜け出していたコマンドラインを交わそうとするもギアを上げられず、相手なりの末脚で2着に敗れてしまった。

兄弟馬にステルヴィオがいる血統背景を含め、これまでの戦歴からも「2歳マイル路線でトップクラスのスピード能力を保持し、番手を問わず速い末脚を繰り出せる良血馬」と評価できるだろう。また、2016年のソウルスターリング、15年メジャーエンブレムを勝利に導いたルメール騎手に乗り替わる今回も好走に期待が高まるのも当然だ。

しかし、結果的に新馬戦で下した2着馬レッドアヴァンティがその後勝てていないことに加え、少数頭競馬+極端な後傾ラップが招いた前走の走破時計(1分36秒4)が歴代のサウジアラビアRC(稍重~良)で最も遅いタイムでの決着だったことからレースレベルは決して高いとはいえず、上位入線馬に対して一抹の不安が残る。

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■サウジアラビアRCに隠された「質」

次に、グランアレグリアやサリオス、ダノンプレミアムなど輩出し、「出世レース」と評されているサウジアラビアRCで上位入線した馬のその後の成績を比較し分析してみる。

このように、サウジアラビアRCを勝利している馬はその後のGIでも活躍している。一方で2着以下の馬の成績をみてみると、19年クラヴァシュドール、17年ステルヴィオの2頭しか活躍しておらず、その2頭も古馬になってから一度も勝利する事すらできていない。2歳戦では「スピード」と「エンジン性能」の差が開いてしまう傾向にあるため、勝ち馬のインパクト(印象)が大きくなってしまうことが多々ある。たとえ展開利で2着に好走できたとしても「グランアレグリアの2着馬」と評されてしまえば、次走で上位人気に推されやすい傾向にあるのが2歳重賞の落とし穴というわけだ。

つまり、牝馬ながらコマンドラインの2着に好走したことを評価するべきではなく、レース内容と質を見極めなければならないのだ。前述で述べた通り、少数頭競馬+極端な後傾ラップが招いた前走の走破時計が歴代のサウジアラビアRC(稍重~良)で最遅だったことを踏まえても、スローによる瞬発力勝負で好走しただけで、今回想定される展開を考えると追走することで精一杯という結果も想定される。

■上がり最速馬は好成績も条件次第

次に阪神ジュベナイルFの好走パターンについて分析する。

・1200m 【0-0-0-14】 勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
・1400m 【4-2-3-66】 勝率5.3%、連対率8.0%、複勝率12.0%
・1600m 【4-7-7-59】 勝率5.2%、連対率14.3%、複勝率23.4%
・1800m 【2-1-0-8】 勝率18.2%、連対率27.3%、複勝率27.3%

このように最も馬券に絡んでいるのは前走1600mの18回。その大半はアルテミスS組が占めている一方で、サウジアラビアRC組はこれまで2頭が出走するも【0-0-1-1】と馬券内に絡めたのは19年のクラヴァシュドール(3人気3着)だけだった。

また、近年は先行激化のため差し馬の台頭が目立っており、なかでも上がり最速をマークした馬は単勝回収値「265%」が示す通り、度々波乱を巻き起こしている。昨年のユーバーレーベンは6番人気ながら上がり最速の末脚を繰り出し3着、14年にはショウナンアデラが5番人気の評価ながら上がり最速で勝利、11年の上がり最速馬ジョワドヴィーヴルは4番人気で勝利するなど、人気の盲点だった馬の差しが決まっている。

ステルナティーアはデビュー戦で「32秒7」の上がり最速となる末脚を繰り出して勝利しており、この上がりタイムは今回登録しているメンバーで最も速いタイムとなっている。しかし、図のように他の馬が経験しているラップと比較すると一目瞭然だが、新馬戦 (前半37秒6→後半33秒3)、前走 (前半37秒7→後半33秒8)と前後半で4秒近い差があるような、「超スロー」での競馬しか好走できておらず、「前傾ラップ」もしくは「前後半の差が±1.0秒」になりやすい傾向にある阪神ジュベナイルFにおいては、経験したことのない流れの影響で末脚不発となる可能性が高い。

また、兄のステルヴィオはサウジアラビアRC2着後、朝日杯フューチュリティSでも2着に好走するなど2歳時に活躍が目立っていた馬でもあるが、ステルナティーアとは異なり、GIの舞台の前に「前傾ラップ」もしくは「前後半の差が±1.0秒」というレースを経験していたため対応できたのだ。馬体が兄と相似していることや血統背景からも人気が先行しやすいタイプでもあるが、これまでの過程が兄とは異なるため、想定人気以上に軽視する必要もあるのではないか。

以上の不安点から馬券の妙味を考えると、ステルナティーアは「消し」の評価。

後編」ではステルナティーアに代わる本命、そして穴馬4頭を含めた結論を紹介する。

▼その他穴馬予想
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阪神ジュベナイルフィリーズ2021予想コラム一覧

▼追い切り予想
◆【S評価】“特筆レベル”で内容も文句なしの「S」評価 「調整法もしっくりハマっている」

◆【A評価】サークルオブライフを上回る高評価 ガス抜き完了で「1F延長でも問題なし」

◆【A評価】下位人気想定の穴馬に「A」の高評価 気配アップで「通用の可能性十分」

◆【B評価】2歳女王の座を狙う人気馬に辛口評価 「まだ素軽さ満点とは言い切れない」

▼データ予想
◆【騎手データ】高い馬券内率を誇る騎手の「馬連+3連複1点」推奨 注目は勝率66.7%→100%の”爆跳ね”条件

◆【データ攻略/前編】有力馬2頭に“明と暗” 「連対率75%」の抜群の相性を誇る関西馬に注目

◆【データ攻略/後編】「血」の力で浮上する、“爆穴”の可能性を秘めた2頭に注目

◆【出走馬考察】2歳女王の座を目論む有力馬の戦力がまるわかり ファンタジーS快勝のウォーターナビレラの評価は

▼その他データ傾向
◆【枠順】“兄弟タッグ”で注目のウォーターナビレラは7枠13番に、最多勝利の1枠には伏兵馬

◆【血統傾向】6年連続好走中の血統に共通する「マイル実績」 注目は2歳GI馬の血を引く伏兵馬

◆【脚質傾向】先行激化で浮上する、5年連続好走中の「上がり最速馬」に注目

◆【前走ローテ】「アルテミスS組」からソダシに続く2歳女王の誕生なるか

◆【人気傾向】1・2番人気決着が過去3回も、オッズ混戦で浮上する「5番人気」の激走に注目

文・西舘洸希(SPREAD編集部)


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