三浦大輔新監督の1年目は、中畑清監督時代の2015年以来となる最下位。厳しい船出となったが、コロナ禍で主力の外国人選手が開幕に間に合わず、さらに投手陣に故障者が続出するなど不運な面もあった。オフには斎藤隆、石井琢朗など1998年のV戦士を揃えた首脳陣に一新し、補強も積極的に行うなど、チーム再建に向けて態勢は整った。
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■12球団ワーストの31盗塁と走塁が課題
【投手力】
★★★☆☆
昨季は規定投球回到達者がゼロだった先発陣だが、エースの今永昇太にチーム最多先発数の大貫晋一、初の開幕投手を務めた濵口遥大に加え、今季は左肘手術から復帰した2018年の新人王・東克樹の開幕ローテ入りが有力。
さらにフェルナンド・ロメロとマイケル・ピープルズの外国人勢や坂本裕哉、上茶谷大河、京山将弥の中堅に移籍組の宮國椋丞や有吉優樹らが残りの座を争う。ドラフト1位の小園健太は高卒だが完成度が高く、1年目から一軍デビューの可能性もありそうだ。
リリーフ陣は抑え候補の三嶋一輝、山﨑康晃に不安があり、最速158キロを投じる新外国人のブルックス・クリスキーに守護神の期待がかかる。中継ぎはエドウィン・エスコバーと伊勢大夢が左右の柱で、石田健大、三上朋也、砂田毅樹などの実績組に、若手の櫻井周斗や故障明けの田中健二朗らが候補だが、ドラフト2位の徳山壮磨も先発、リリーフ兼用の即戦力右腕で、開幕一軍の可能性もありそうだ。
【打力】
★★★★☆
今季はタイラー・オースティン、ネフタリ・ソトの両外国人がキャンプ初日からチームに合流し、FA権を取得した宮﨑敏郎も複数年契約で残留。20年首位打者の佐野恵太に昨季、数々の新人記録を打ち立てた牧秀悟、復活したリードオフマンの桑原将志と、強打者が並ぶ切れ目のない打線は健在だ。
内外野で唯一と言えるレギュラー不在のショートは、ベテランの大和や柴田竜拓が有力だが、19年ドラフト1位の森敬斗が定位置を狙う勢いだ。日本ハムから移籍した大田泰示をはじめ、神里和毅、関根大気、楠本泰史、細川成也など控えも含めて人材豊富な外野に比べて、内野の控えは倉本寿彦、田中俊太ぐらいとやや層が薄いのは不安材料か。若い選手が多く、チームの精神的支柱となるベテランの不在が懸念材料のひとつだったが、楽天から10年ぶりに復帰した藤田一也がその役割を担ってくれそうだ。
【機動力】
★★☆☆☆
昨季のチーム盗塁数は12球団ワーストの31と、大砲揃いのラインアップの弊害が如実に出た形となっている。ヒット3本でも点が入らないケースもしばしば見られ、チーム併殺打はリーグワーストの107と効率の悪い攻撃が目立った。
今季は森や神里などスピードが武器の選手に定位置奪取が望まれるが、14年ぶりにチーム復帰した石井琢朗コーチは現役時代に通算358盗塁を記録した実績を持ち、走塁に関しての意識改革が期待される。
【守備力】
★★★☆☆
昨季のチーム失策数は73でリーグ3位だが、スタメンによって守備力は変わる印象。名手の大和はチーム最多の11失策だが、守備範囲の広さや安定感などを考えると、いるといないでは内野の印象が大きく変わる。柴田の守備も職人の域だ。
ソト、宮﨑、牧の内野陣は打力優先が否めず、新鋭の森も32試合で6失策とまだ発展途上。外野は佐野の守備がウイークポイントになる。レギュラー不在の捕手は総合力の伊藤光、打撃の戸柱恭孝という位置付けだが、昨季盗塁阻止率.984の山本祐大も正捕手候補の一人だ。
【采配】
★★★☆☆
就任1年目から最下位となった三浦監督だがFA流出を補う補強もなく、外国人の来日遅れなど球団の不手際もあり、評価は難しいところだ。低迷するチームで不振が続いていた桑原を再生させるなど、選手のモチベーションを落とさない選手起用は評価できる。
2年目は真価を問われる年となるが、注目したいのが一新されたコーチ陣で、最近5年間のセ優勝チーム全てに関わった石井コーチを筆頭に、勝利の味を知る齋藤、鈴木尚典両コーチらが伸び悩む若手、中堅選手をいかに覚醒させるかで、チームが大きく変わる可能性はある。
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記事提供:ベースボール・タイムズ
データ提供:野球DB