16日は阪神競馬場で牝馬三冠の最終戦となる秋華賞(GI、芝2000m)が行われます。京都競馬場の大規模改修工事のため今年も阪神が舞台となり、過去データはあまり意味を成しません。
そのため今回は阪神競馬場改修後(2006年以降)の阪神芝2000m重賞の過去データを参考に気になる騎手データを見ていきます。なお、主な集計対象レースは大阪杯(GII時代も含む)、ラジオNIKKEI杯2歳S、マーメイドS、チャレンジC(朝日CC時代も含む)、鳴尾記念です。
◆【秋華賞2022予想/追い切り診断】スターズオンアースを上回る最高評価「S」 全部やり切れている感がある
■この舞台ならC.ルメール騎手が中心
今年の秋華賞に騎乗する騎手の中で、2006年以降の阪神芝2000m重賞で騎乗経験があるのは全騎手。各騎手のデータは次の通りです。
阪神芝2000m重賞は人気がストレートに着順へと反映されやすいようですね。中でもC.ルメール騎手、戸崎圭太騎手(同騎手については後述)が安定した成績を収めています。
C.ルメール騎手は勝利数こそレジェンド武豊騎手に届きませんが、2位タイとなる5勝を挙げて連対率38.9%という数値以上に、高い勝率(27.8%)が魅力です。2013年ラジオNIKKEI賞のワンアンドオンリー(7人気1着)、2015年大阪杯のラキシス(4人気1着)ら伏兵馬を勝利に導いたこともありますね。素の数値で単勝回収率が233%もありますので、頭で狙ってこその騎手と言えます。
同騎手は今年の秋華賞で前日1番人気のスターズオンアース(美浦・高柳瑞樹厩舎)に騎乗予定。とくに割り引きが必要なデータが見つからないため、頭はこの馬で決まりかもしれません。
◆【秋華賞2022予想/危険な人気馬】非凡な瞬発力を持つ人気馬は“消し”評価 「舞台替わりはプラスではない」
■人気馬に騎乗する坂井瑠星騎手と横山武史騎手は
続いて3強の残り2頭に跨る坂井瑠星騎手、横山武史騎手のデータを見ていきます。
坂井瑠星騎手は前日3番人気のスタニングローズ(栗東・高野友和厩舎)、横山武史騎手は前日2番人気のナミュール(栗東・高野友和厩舎)に跨りますね。
坂井瑠星騎手は2022年マーメイドSで4番人気のマリアエレーナを2着に導きました。同馬を含めて5鞍中4鞍で人気以上の着順を確保できているのが魅力です。人気以上に来やすいデータを考えると、騎乗するスタニングローズが馬券絡みする可能性は十分ありそうですね。
一方、重賞データだけではサンプル数が足りずジャッジできないのが横山武史騎手。そのため阪神芝2000m成績についてクラス関係なしに調べてみると結果は【1.1.0.4】の連対率33.3%、平均着順6.0、平均人気4.8でした。1番人気で9着に敗れた今年の大阪杯(騎乗馬:エフフォーリア)の結果が響いていますが、そこを除けばほぼ人気通りの着順が見込めます。
騎乗馬のナミュールを割り引く必要はなさそうですね。
◆【秋華賞2022予想/穴馬アナライズVol.1】想定“10人気”前後の惑星 「一発があっても驚けない」
■川田将雅騎手、戸崎圭太騎手も成績安定
さらに川田将雅騎手、戸崎圭太騎手のデータも細かく見ていきます。
川田将雅騎手は秋華賞で前日4番人気のアートハウス(栗東・中内田充正厩舎)に騎乗予定。やや勝ち味に遅い傾向はあるものの、この舞台での堅実さが光る同騎手。
【阪神芝2000m重賞】×【川田将雅騎手】×【4番人気以上】は【4.4.4.9】で食い込みには警戒しておくべきですね。そして頭で狙うよりは2、3着候補として考えるといいかもしれません。
また騎乗数こそ限られますが、この舞台で最も高い連対率を誇るのが関東所属の戸崎圭太騎手です。同騎手は秋華賞で前日6番人気のプレサージュリフト(美浦・木村哲也厩舎)に跨ります。
昨年の秋華賞で4番人気のアカイトリノムスメを1着に導くなど少ない騎乗数で4度の馬券絡みがあり、先ほどの川田将雅騎手と同様に堅実さが強みとなる同騎手。過去の好走は全て4番人気以内だっただけに、騎乗馬のプレサージュリフトが当日さらに人気に推されるようなら信頼度が高まりそうですね。伏兵級の人気で最も可能性を感じるのがこのコンビです。
以上、秋華賞の気になる騎手データでした。データ注目騎手としてスターズオンアースに跨るC.ルメール騎手を推奨します。
▼その他、データ予想
◆【データ攻略-前編】スターズオンアースに追い風も、牝馬三冠の阻止を狙う「勝率100%」の人気馬とは
◆【データ攻略-後編】“波乱の使者”候補は想定10人気前後 「馬券内率100%」が強力後押し
秋華賞2022予想コラム一覧
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】上位人気の一角に低評価「B」 「仕上がりに不安を感じる」
◆【追い切り診断】スターズオンアースを上回る最高評価「S」 全部やり切れている感がある
◆【追い切り診断】好気配の重賞馬に高評価「A」 「攻め気配には非の打ち所がない」
◆【追い切り診断】“完成は秋”を目標とされた伏兵に「A」の高評価 「かなりいい状態にありそう」
▼穴馬予想
◆【穴馬アナライズVol.1】想定“10人気”前後の惑星 「一発があっても驚けない」
◆【穴馬アナライズVol.2】想定オッズ“40倍”前後の伏兵 「人気はないが、ケアして損はない」
◆【穴馬アナライズVol.3】惨敗続きで“人気ガタ落ち”の重賞馬 「積極的に買い目に加えたい」
◆【危険な人気馬】非凡な瞬発力を持つ人気馬は“消し”評価 「舞台替わりはプラスではない」
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】スターズオンアースとアートハウスの5枠は勝率“0%” 狙いは「馬券内率5割の好枠」
◆【血統傾向】想定“8人気”前後に照準 条件合致で「馬券内率4割」超えの非サンデー系
◆【脚質傾向】オークス経由組に明と暗、スターズオンアースは「早めに反応できるか」
◆【前走ローテ】最多4勝のオークス直行組が中心も、“大穴”が潜むトライアル組
◆【人気傾向】牝馬三冠は“単勝オッズ”がキーワード 2人気は勝率0%の鬼門
◆【動画プレーバック/秋華賞2021】4番人気アカイトリノムスメが最後に末脚を伸ばし2着に半馬身差をつけラスト一冠を制す
著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。