今週は、国内外のチャンピオンホースが激突する最高峰の一戦、第44回ジャパンC(GI、芝2400m)が東京競馬場で行われる。
今年は、天皇賞・秋を制したドウデュースをはじめ、3歳二冠牝馬のチェルヴィニアや、ジャスティンパレス、スターズオンアース、ブローザホーンなどのGI馬7頭が出走予定。海外からは、オーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティックムーンと、こちらも3頭すべてがGI馬という豪華なメンバーが来日。最強馬決定戦にふさわしいラインアップとなった。
そんな中、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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目次
■母父ガリレオが示す日本競馬への対応力に懸念
ディープインパクトのラストクロップとして注目を集めていたオーギュストロダンが、ついに日本でその走りを披露する。3歳時には英ダービー、愛ダービーと2カ国のダービー馬に輝き、昨年はBCターフ、今年はプリンスオブウェールズSを制するなど、6つのGIタイトルを引っ提げて父の祖国にやってきた。ディープインパクト産駒は、ジャパンCで4勝を数え、種牡馬としては最多勝利数を誇るだけに、人気面でも上位に支持されるだろう。
しかし、近年のジャパンCは日本馬が優勢で、2005年アルカセットを最後に、外国馬は優勝から遠ざかっている。過去10年でも【0.0.0.25】と、馬券圏内にすら入っておらず、厳しい戦いを強いられている。オーギュストロダンを含め、近年では最高と称されるメンバーが来日しているが、地の利で上回る日本馬が優位なのは今年も変わらないだろう。
また、日本の高速馬場への対応という点でも不安は残る。高速コースで知られるサンタアニタで行われた昨年のBCターフでは、2分24秒3の時計で制しており、ある程度の持ち時計で走れることは証明済みだが、力の要る欧州競馬を主戦場としているだけに、2分20~21秒前後の決着になるようだと、果たして自身のパフォーマンスを存分に発揮できるだろうか。
加えて、“母父ガリレオ”という点も大いなる懸念材料。欧州では父として、また母父としてもビッグタイトルを総なめしている大種牡馬だが、日本では父として重賞勝ちはなく、母父として重賞は8勝しているが、GIでは昨年ホープフルSのシンエンペラーの2着が最高着順と、未だに勝利がない。父か母または両方がサドラーズウェルズ系である馬のジャパンCの成績は過去10年で【0.0.0.19】と、ドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーでさえも5着に敗れている。例えディープ産駒といえども、サドラーズウェルズの血を持つとなると、血統面で決して強調できるものではないだろう。
今季は5戦して、プリンスオブウェールズSの1勝のみと、3歳時に比べると取りこぼすケースも目立っており、全盛期よりやや力は落ちてきている印象。ムラのある戦績を踏まえても、ディープのラストクロップとして当初から日本でも話題になっていた馬で注目されやすいため、妙味は薄く、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。