■サトノレイナス
【中間調整】桜花賞は後方から猛然と追い込んで、ソダシにクビ差まで迫る2着。勝ち馬はじめ前々で立ち回った組が上位だったことを考えれば、まさに負けて強しの内容だったと言える。距離延長で直線の長いオークスなら逆転の可能性十分……と思われたが、4月22日に同じ東京芝2400mでも日本ダービーへの挑戦を表明。ウオッカ以来14年ぶりの快挙に挑むこととなった。中間は在厩で調整されており、4月中はケアに専念。4月30日に坂路15-15、5月2日にウッド14-14と徐々に実戦モードへ気持ちを切り替えていく。以降はウッドコースと坂路を併用し、攻めは順調。
【最終追い切り】1週前に相当速いところをやっており、この日は調整程度。C.ルメール騎手が道中の雰囲気と反応を確認することに主眼を置いた内容となった。時計は平凡だが、掛かることなくリラックスした走りを見せる。直線半ばまであえて馬の後ろを走らせ無理をさせない。ただし、ラストでゴーサインを送ってもギアを上げず、遅れたままの入線。いささか案外な内容だった。
【見解】手元に置いて入念に調整。時計を出し始めた時期も適切で、レコード決着の前走で惜敗したダメージはほとんど考えなくていいレベルだろう。攻め量や伸び脚も申し分ない。だだし最終追いで仕掛けに反応し切れず、手前の替え方にもぎこちなさがあったあたり、精神面で波があるのかもしれない。あくまで最終追いの段階ではあるが、走ることへのピントが合っていないような感。もちろんレースまでに整ってくる可能性も十分だが、一抹の懸念を感じるところ。
総合評価「B」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。