前編では“1強ムード”における日本ダービーの過去の傾向から、エフフォーリアとサトノレイナス、そして毎日杯組のシャフリヤールとグレートマジシャンの見極めについて分析。
ここでは前編で述べた「持久力型」の馬を中心に、有力馬の「一角崩し」で波乱を演出する可能性を秘めた盲点をあぶり出していく。
■盲点には単勝10番人気以下が2頭
まず前売りで単勝14番人気と急下落のヴィクティファルスに注目。前走・皐月賞では発汗が目立ち、ややテンションが高かったことが影響してか、直線ではジリジリとしか伸びず4番人気で9着に敗れた。2走前のスプリングSは道悪でタフな競馬を、上がり3F36秒1で差し切った。
中間は放牧を挟んでガス抜きに専念し、レース直前までメンコ着用と対策済み。1枠を利して脚を溜めることができれば、ハイレベルの共同通信杯で2着の馬が巻き返す余地はある。
グラティアスの前走・皐月賞は、外枠発走から終始距離ロスを強いられる競馬だったことに加え、勝負どころで他馬と接触するアクシデントがあった。キャリア2戦の本馬にとってストレスのかかる展開だったか。それでも6着と言っても2着馬と0秒2差。
あと一歩で掲示板なら素質の片鱗を見せたと言っていい内容で、タフな冬の中山での重賞勝ち実績は、この大一番で活きる可能性あり。
最後に皐月賞2着のタイトルホルダーをピックアップ。前走の皐月賞では勝ち馬エフフォーリアに離されたものの、持ち前のタフさで混戦の2着争いを死守した。2歳時からダノンザキッドに食らいついてきた馬で、実績面は申し分ないが、常に人気は上がらないタイプ。
もう少し内枠が欲しかったが、B→Cコース替わりで馬場のいい内側を確保できる先行力は強み。同型のバスラットレオンはいるが、前に馬を置く競馬も問題なく、離れた2、3番手の展開なら楽な競馬になる。
■日本ダービー2021予想コラム一覧
▼穴馬予想
◆【前編・有力馬】“1強ムード”がエフフォーリアを後押し、サトノレイナスと毎日杯組2頭は低評価
▼データ予想
◆【前編・有力馬】エフフォーリアとサトノレイナス、人気馬2頭の明暗を分ける「100%データ」とは?
◆【後編・穴馬】前走上がり最速の脚も完敗の穴馬、強力データが示す「6-1-1-0」の“買い”要素
▼追い切り予想
◆【有力馬】エフフォーリアを上回る「S」評価、前走激走の反動皆無「心肺機能は文句なし」
◆【有力馬】サトノレイナスは辛口評価「B」、ゴーサインにギア上げず「精神面に一抹の不安」
◆【有力馬】エフフォーリアは2番手評価「A」、動き上々も回復に若干手間取ったか
◆【穴馬】前走完敗の伏兵に「A」評価、稽古駆けするOP馬を圧倒「「闘志満々」
▼その他、データ傾向
◆【騎手データ】エフフォーリアの横山武は東京芝2400mわずか1勝、連対率30.4%を誇る“府中の鬼”とは
◆【過去10年データ/枠順傾向】エフフォーリアの1枠は最多3勝の“絶好枠”、サトノレイナスは連対率わずか3.3%の“鬼門”8枠
◆【過去10年データ/人気傾向】2番人気は勝率「10%」、1・2番人気ワンツーは過去10年で昨年のみ
◆【過去10年データ/前走ローテ】エフフォーリア、二冠達成の確率は「30%」 無敗でも過信は禁物
▼UMAJINチャンネル「必勝!岡井塾ー日本ダービー 編」
著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。