【天皇賞・秋】イクイノックスの“資格と刺客” 「この先を含め負けるとすれば、ここしかない」

 

【天皇賞・秋】イクイノックスの“資格と刺客” 「この先を含め負けるとすれば、ここしかない」
イクイノックス/2023年ドバイシーマクラシック(C)Getty Images

第168回天皇賞・秋(10月29日/GI、東京芝2000m)は、GI4連勝中のイクイノックス、昨年のダービー馬ドウデュース、春の天皇賞馬ジャスティンパレス、大阪杯覇者ジャックドールと、GI馬4頭が参戦する。

これに前走・札幌記念で4馬身差と圧勝したプログノーシス、昨年3着で今年のドバイターフ2着のダノンベルーガと、GI初制覇を狙うメンバーが揃い、11頭立てながら「少数精鋭」と呼べるメンバーが揃った。

しかし、下馬評はイクイノックスの「1強」。各メディアの予想オッズは単勝オッズ1倍台を示し、イクイノックスの天皇賞・秋連覇が濃厚と見られている。果たして、世界ナンバーワンホースに死角はないのか。

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■イクイノックスの大目標はジャパンC

現在、8戦6勝のイクイノックスが敗れた2戦は、昨年の皐月賞と日本ダービー。しかし、皐月賞は東京スポーツ杯2歳Sから約5カ月ぶりと異例の直行ローテであり、日本ダービーはフルゲート18頭の大外8枠18番発走だった。それでも2着を死守したのは、指揮官いわく「天才」たるゆえん。

昨年の天皇賞・秋は、前半1000m57秒4で大逃げを打ったパンサラッサを自身上がり3F32秒7の末脚で差し切りV。続く有馬記念も、タイトルホルダーら先行勢が力尽きる中、道中中団から4角3番手まで進出し、最後は流す余裕すら見せ、後続に2馬身半差の圧勝を見せた。

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そして、「世界1位」の評価を得た今年のドバイシーマCは逃げてレースレコードV。3馬身半差の2着ウエストオーバーが後に“キングジョージ”と凱旋門賞で2着、3着以下の馬も続々とGI制覇を飾った状況から、世界に認められるのもうなづける。

スルーセブンシーズにクビ差の辛勝だった前走・宝塚記念は、帰国後の検疫でメンタル的に追い込まれ、レースに向けても美浦坂路の改修工事のため初の栗東滞在と、決して順調ではなかった。

今回は完全ホームの美浦調整と東京競馬。1週前追いでは美浦Wコース6F78秒9-1F11秒8と自己ベストを更新し、当日の一番時計をマークと、まさに順風満帆でレースを迎える。

この時点では死角らしい死角は、正直見当たらない。

唯一付け入る隙があるとすれば、大目標がジャパンCである点。ドバイシーマCとジャパンCの同一年制覇ならボーナス賞金200万ドル(約2億6000万円)が出る。天皇賞・秋の結果を抜きに、ジャパンCに優勝すればアーモンドアイを超え歴代賞金王の座に就く。大目標に掲げるのは当然と言える。

ジャパンCが「100」とすれば、天皇賞・秋は「85から90」くらいか。それでも勝ち負けできるほどの実力は疑いようがないが、イクイノックスがこの先を含め、「負けてもいい」と言える場面は、既にタイトルを獲得しているここしかない。

では、この馬を負かすとしたら……。

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■同世代という「刺客」が一矢報いる

昨年の天皇賞・秋を振り返ると、直線に向いて15馬身ほどの差があるパンサラッサを上がり3F32秒7で差し切ったシーンは際立ったが、3着ダノンベルーガも上がり3F32秒8という数字に違わぬ鋭い末脚で追い込んだ。

レース映像で前のパンサラッサを伏せ見返すと、それはイクイノックスとダノンベルーガの追い比べ。絶望的な力差があるとは思えない内容に見える。

思えば、続く有馬記念も2馬身半差の圧勝だったが、2着ボルドグフーシュは後に阪神大賞典と天皇賞・春でジャスティンパレスに完敗した馬。レースでも、ボルドグフーシュはイクイノックス以上の大マクリで脚を使っている。

現4歳世代は、前述の春の天皇賞馬ジャスティンパレスや、オールカマーで相手が休み明けだったとはいえ、タイトルホルダーを負かしたローシャムパークなど、層が厚く成長力のある馬が多い。イクイノックスを負かす馬は同世代に潜むと見た。

このメンバーで唯一、イクイノックスに土をつけたダービー馬ドウデュースは海外遠征で精彩を欠いたが、今年2月の京都記念では圧巻のパフォーマンスを披露。日本ダービーからプラス18キロの馬体は、胸筋のパンプアップに目を見張り、確かな成長を感じさせた。今回は8カ月半ぶりの休み明けだが、9月上旬には栗東入りし、中間は前進気勢がみなぎる追い切りを消化、万全の状態で挑む。

ダノンベルーガは前走・札幌記念こそ道悪に泣いたが、3月のドバイターフでは3連覇のロードノースを相手に3/4差2着と、軽い馬場では地力の高さを証明している。春の天皇賞馬ジャスティンパレスも、エンジンがかかれば息の長い脚があり、距離不足の不安は直線の長い府中で相殺できる。

もう1頭、ガイアフォースも不気味な存在だ。今回、1枠に入ったノースブリッジの鞍上が「ポツン逃げ」を希望。これに昨年のリベンジと言わんばかりに積極策が予想されるジャックドールがいれば、少頭数でも縦長の展開が予想される。

そうなれば、今年に入りマイル戦のペースを経験したガイアフォースは好位で流れに乗りやすく、3歳時に叩き出した小倉芝2000mのレコード1分56秒8のスピードが生きてくる。

世界ナンバーワンホース・イクイノックスに天皇賞・秋連覇の「資格」は十分にある。だが、大目標を先に見据えた今回、同世代のライバルという「刺客」が一矢報いるシーンも想定したい。

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枠順・人気・過去10年データなど

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(T.Yamada/SPREAD編集部)