【有馬記念】タイトルホルダーの“一人旅”にあらず 展開利から浮上は「中山芝2500mドンピシャ」の刺客

 

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世界最強馬イクイノックス、令和の逃亡者パンサラッサなど名馬がターフを去り、絶対王者が不在となった第68回有馬記念(12月24日/GI、中山芝2500m)。

馬券内率100%を記録しているが、オークス以来勝ち星から遠ざかっているスターズオンアース、将来を担う3歳の意地を見せたいタスティエーラ、武豊とともに復活を誓うドウデュース、これがラストランとなるタイトルホルダーなど、どの馬も絶対にほしいタイトルであり、混戦と化している。

今年はタイトルホルダーの逃げが濃厚だが、序盤のペースにおいてカギを握るのが、ステイヤーズSを逃げ切り、悲願の重賞Vを果たしたアイアンバローズ(牡6、栗東・上村洋行厩舎)だ。

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■強引に逃げてもスタミナだけは自信

一般的に考れば、アイアンバローズよりもタイトルホルダーの方が明らかにテンの速さは上回り、ハナを取るのはタイトルホルダーだ。しかし、少々強引に逃げてもスタミナが担保されているアイアンバローズがそのまま引き下がるとは考えづらい。

「前走のステイヤーズSにはアフリカンゴールドがいて、8枠だろうがアフリカンゴールドの単騎逃げになるとほとんどの人が思っていた。しかし、アイアンバローズは1周目向こう正面半ばまでアフリカンゴールドを追いかけて3コーナー入り口でハナを奪った。鞍上の石橋騎手はスタミナに関して相当自信を持っていましたから、その自信が表れていましたね」(競馬ライター)

同騎手は2年前のステイヤーズSでアイアンバローズに騎乗し、逃げて2着。当時は1000m通過が65秒3とスローで入ってしまい、自身が進言したレースだったこともあり、勝ち切れず悔しい思いをした。そこからも勝ち星を挙げられず、前回が1年半ぶりの騎乗。1000mは63秒9で入り、2週目スタンド前では後続を10馬身以上離した一人旅へと出た。

2周目3~4コーナーで後続に捕まったかと思ったが、そこからが見事な粘り腰。直線に入ると、また差を広げて3600mを逃げ切って見せた。ステイヤーズSを逃げ切って勝利したのは1991年以来、じつに32年ぶりだ。

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「テンの速さで劣るので現実的にハナまであるとは考えづらいが、鞍上も大舞台で悔いのない競馬をして魅せてくれるでしょう。そうなると、今年もタイトルホルダーは気持ちよく逃げられなくなりそうです」(競馬ライター)

同型不在でタイトルホルダーはマイペースに運べるかと思われたが、アイアンバローズに絡まれる可能性が高くなった。さらに強力な先行馬スターズオンアースが控える。

序盤からペースが流れて3コーナー入り口にかけて仕掛けが始まると、スターズオンアースが自然とポジションを上げてくるだろう。早めに飲み込まれると脆さが目立つタイトルホルダーにとっては厳しい流れになる。

■中山舞台の消耗戦は“ドンピシャ”

そこで一発を狙うのがスルーセブンシーズ(牝5、美浦・尾関知人厩舎)だ。

「絶対的に消耗戦へ持ち込みたいアイアンバローズ陣営がいることで、チャンスが巡ってくるのはこの馬。宝塚記念も凱旋門賞も前が苦しくなる展開を器用に馬群を割って伸びてきた。中山の2500mなんてドンピシャでしょう」(競馬ライター)

5月までに登録が必要な凱旋門賞を、当時GIIIの中山牝馬Sに勝っただけの実績ながら早々に登録を済ませており、凱旋門賞に向けて牧場サイドも期待を持っていたのは明らか。宝塚記念ではイクイノックスにタイム差なしの2着と、陣営の期待に応えて結果を残し、そこから直行で向かった凱旋門賞は5歳牝馬ながら4着と、日本馬の挑戦に再び火をつける大健闘だった。

「帰国後はノーザンファーム天栄へ放牧に出されて、順調に回復して有馬記念へ。クラブ馬だから規定通り6歳3月末で引退。国内の芝GIであればここがラストです。1週前追い切りは2500mを想定してのもので、ウッド自己ベスト。さらに4Fは49秒8と50秒台を切ってきました。花道を飾る準備は着々と進んでいます」(競馬ライター)

スルーセブンシーズの父ドリームジャーニー、その弟オルフェーヴルは歴代覇者に名を連ね、自身も中山で全4勝を挙げており、いわば“中山の鬼”。牝馬らしからぬ勝負根性も受け継がれし血にあるだろう。

さらに鞍上は池添ジョッキー。切っても切り離せない血の繋がりでグランプリ男が一発を魅せる。単なるGIII馬と侮ってはならない。

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(Asuka.F/SPREAD編集部)