■第3位 MLB史上初「二刀流」でオールスター先発出場
大谷は「MLBオールスターゲーム2021」に「1番DH」そして先発投手として異例の二刀流出場。投手として1回のマウンドに上がった大谷は、先頭のフェルナンド・タティスJr.(サンディエゴ・パドレス)をカットボールで左飛、2番マックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)をストレートでつまらせ二ゴロ、そして、3番ノーラン・アレナド(セントルイス・カージナルス)はスプリットで遊ゴロと、ナ・リーグの猛者を三者凡退に抑え込んだ。これで2019年の田中将大(当時ニューヨーク・ヤンキース)に続き、日本人2人目の球宴勝利投手となった。
打者としては、マックス・シャーザーらの前に2打席で二ゴロ、一ゴロで2打数無安打。初出場初安打とはならなかったが、MLBは大谷をDHによる選出ながら投手として登板させるルール変更までも実施、まさに大谷一色に見えた球宴だった。
■第2位 MLB公式戦で初の「リアル二刀流」
大谷は4月4日、シカコ・ホワイトソックスを相手に「2番・投手」として今季初先発。ここから2021年の大谷の歴史的シーズンが始まった。大谷は4回と2/3を投げ7奪三振としながら3失点で勝敗はつかず。数字だけを見ると平凡ではありながら、自身は第1打席で先制のソロホームランを放ち、チームもサヨナラ勝ちを収めた。
なにしろ大谷本人が先日、日本記者クラブで行われた帰国記者会見において、今年もっとも印象に残ったとして、この試合をピックアップ。「今シーズンを戦い抜く中で、みんなが不安なくスタートできた」としているだけに、2位選出とした。
■第1位 まさに「ShoTIME」で「翔タイム」なホームイン
MLBファンなら、この試合のホームイン・シーンは何回も、いや何十回も目にしているに違いない。
7月2日のこの日、大谷は「2番DH」で先発出場。3回に右中間へ29号、続く4回には左翼席へ30号2ランという連発弾で、日本選手では松井秀喜に次ぐ2人目の30本を達成した。そればかりか、7対7の同点で迎えた9回1死に四球で出塁するとその後、二盗を決める。しかもこの二盗は味方の守備妨害を取られ、取り消された後の「2つ目の二盗」だった。さらにこの後、ウォルシュが右前打を放つと2塁から激走、サヨナラのホームに滑り込んだ。
この後、土まみれになりながら、セーフの判定を受けた大谷は寝っ転がったまま、何度も天に向け、両手を挙げガッツポーズ。さらに駆け寄ったチームメートに抱き起こされつつ、手荒い祝福を受ける。
WALK IT OFF WALSHY??#WeBelieve I @Angels pic.twitter.com/ebAWQIx6fT
— Bally Sports West (@BallySportWest) July 3, 2021
大谷はシーズン終盤、「勝ちたい気持ちが強い」と発言し、チーム去就に絡んだ発言とメディアでも取りざたされたが、帰国会見でもチームが勝てずメンタル的に辛かったという趣旨の発言を残している。つまるところ大谷は、この日の試合のように、チームの勝利にこそ自身の喜びを見出しており、このガッツポーズこそが証左だろう。
大谷の勝利への渇望がはっきりと見てとれた、この試合を2021年のベストゲームとしたい。そして、来年はこんなリトルリーガーのようなガッツポーズが、さらに何度も見られることを期待しよう。
※日付はすべて現地時間
著者プロフィール
たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー
『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。
MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。
推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。
リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。
著書に『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』、『麗しきバーテンダーたち』など。


























