白毛馬ソダシのダート初参戦が注目される今年のチャンピオンズカップ。レース名が「ジャパンカップダート」の時代に、父クロフネが7馬身差のレコードV、芝・ダートGI制覇を決めたのが今から20年前となる。
ダート初参戦で父娘制覇を狙うソダシ。父と同じく芝・ダートGI制覇の偉業に期待したいところだが、データ的にはあまりにもマイナス要素が多い。
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■芝・ダート“二刀流”は通用せず
過去10年、チャンピオンズカップ(2011年~13年=ジャパンカップダート)において、ダート初参戦は12年12着のトゥザグローリーのみ。ダート出走歴があり「前走・芝」と条件を広げても過去10年で【0-0-0-3】。02年まで遡ればイーグルカフェが前走、芝の仏ドラール賞から中山開催のジャパンカップダートを制したが、同馬は前年の武蔵野S2着などダートを経験済みだった。
ちなみにフェブラリーSでは、2001年にダート初参戦のトゥザヴィクトリーが3着に好走した例があり、過去にもアグネスデジタルやグルメフロンティアなど芝・ダート兼用馬の戴冠もある。しかし、フェブラリーSは芝スタートとなる東京ダ1600mであり、芝馬の“二刀流”が通用するのも頷ける。
オールダートで直線上り坂からスタートし、最後は高低差1.8mの急坂を駆け上がり直線約410mの攻防となる、中京ダ1800mのチャンピオンズカップでは、もはや芝のスピードは不要と言えるのがこの舞台だ。
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■3歳馬も1枠も厳しいデータ傾向
3歳馬は過去10年で【2-1-1-13】と健闘しているが、馬券に絡んだのは2019年1着のクリソベリル、18年1着のルヴァンスレーヴ、15年2着のノンコノユメ、12年3着のホッコータルマエと、いずれもダート一線級で活躍していた馬だった。
また、中京ダ1800mで施行された過去7年、ソダシが入った1枠は【0-2-2-8】。馬券に絡んだのは、ゴールドドリーム、コパノリッキー、ノンコノユメ、サウンドトゥルーとダート戦線のトップクラスであり、決して有利ではない枠と言える。そもそも初ダートで砂を被る最内枠は厳しく、すべてにおいてソダシに厳しい条件がつきまとう。
むしろ狙いは実績があるダートの古豪。とくにチャンピオンズカップでは実績馬の巻き返しが目立ち、昨年4番人気1着のチュウワウィザード、同10番人気3着のインティは、ダートGI実績がありながら近走不振から人気を落としていた。ちなみに過去7年の前走着順を見ると、
▼チャンピオンズC前走着順[過去7年]
前走1着【2-3-1-25】
前走2着【1-0-2-7】
前走3着【2-2-1-12】
前走4着【1-0-0-8】
前走5着【1-0-0-12】
前走6着以下【0-2-3-24】
6着以下でも5頭が馬券に絡むなど巻き返しの例は多く、2018年8番人気2着のウェスタールンドは前走・武蔵野S7着、16年10番人気3着のアスカノロマンは前走・みやこS14着の前走惨敗から好走した。
狙うべきはダートの実績馬。希代のアイドルホース・ソダシを応援したいところだが、チュウワウィザードやテーオーケインズといったダート一線級を軸にすべきだろう。「後編(土曜17時公開予定)」では前走惨敗から人気落ちの3頭をピックアップする。
▼穴馬アナライズ・後編
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チャンピオンズカップ2021予想コラム一覧
▼追い切り予想
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▼データ予想
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▼UMAJINチャンネル「必勝!岡井塾-チャンピオンズC編」
著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
元・競馬月刊誌の編集長で、現在はスポーツの未来を読みとくメディア『SPREAD』の編集長。1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、穴馬予想を追求し続けている。会心の的中はキセキが制した2017年菊花賞の3連単55万9700円。