■イクイノックス
【中間調整】昨年秋の東京スポーツ杯2歳Sを快勝。そこから5カ月ぶりのぶっつけという異例の臨戦過程で臨んだ皐月賞では、同厩ジオグリフに1馬身差の2着だった。続く日本ダービーはかなり後方からの競馬となり、馬込みで脚を溜めると進路が開けた直線では鋭い脚を発揮。ドウデュースを追い詰めるも、クビ差だけ届かずまた2着という結果に。春2冠はいずれも大外枠スタートだったし、いずれも負けて強し。重賞勝ち鞍は2歳GIIひとつのみだが、国内最強の一角を占めると言っていい存在だろう。ダービー後に両前脚を痛めたことが報じられたが、重度ではなかったよう。放牧でじっくり英気を養い、7月上旬の時点で天皇賞・秋を目指すことがオーナーサイドから表明されている。9月30日に予定通り美浦へ帰厩し、当初は体質面を考慮して軽めの時計で調整。19日の1週前追いでC.ルメール騎手が騎乗。ここでスカイグルーヴを追走するウッド併せ馬で、中間初と言っていい強い負荷を掛けられた。手前の変換にぎこちなさはあったものの、伸びそのものは力感たっぷり。体を大きく使って追走併入としている。
◆【天皇賞秋2022予想/騎手データ】軸は条件合致で馬券圏内率“8割超え”も GI馬の激走に警戒
【最終追い切り】ウッドコースで前後に馬を置き、直線では左右からタイトに挟まれる3頭併せ。プレッシャーをものともせず進み、気合いを入れられたラストでスムーズに加速する。結局手応え最優勢で1頭に先着、1頭と併入とした。
【見解】体質の弱さを考慮しメリハリをつけて調整されているが、最終追いで見せた抜群の集中力と動きからサジ加減はぴったりだったようだ。体質強化となり、もっとバリバリ攻められればどれだけのパフォーマンスを見せるのか……という思いはあるにせよ、現時点でやれることはやり切っている。ここでGI初戴冠となる可能性は十分。
総合評価「S」
▼その他、追い切り診断
◆【追い切り診断】シャフリヤールを上回る高評価 好気配キープで「GI奪取へノンストップ」
◆【追い切り診断】GI馬にまさかの低評価「B」 仕上げの比重は「次走に傾いている感」
◆【追い切り診断】高評価「A」に“大駆け”の可能性 「負荷、本数ともに前走時を凌駕」
天皇賞秋2022予想コラム一覧
▼穴馬予想
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◆【穴馬アナライズVol.2】単勝オッズ“20倍”以上の刺客 「前走で歯車が噛み合った」
◆【穴馬アナライズVol.3】覚醒した“8人気”前後の伏兵 「“どデカい”穴を開ける資格」
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▼データ予想
◆【騎手データ】軸は馬券圏内率“8割超え”の名手も、人気以上に導く穴男に注目
◆【データ攻略-前編】イクイノックスに「馬券内率8割」超えも、人気一角に“鉄板”条件
◆【データ攻略-後編】GI初挑戦組に「連対率70%」超え さらなる好材料で激走の予感
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】ジャックドールは5枠9番 3歳馬イクイノックスとジオグリフは最多4勝の好枠に入る
◆【血統傾向】復調気配の想定“10人気”前後に注目 馬券内率4割の単回収値「148」条件に合致
◆【脚質傾向】4角5番手以内の“横綱競馬”が主流 勝算ありのジャックドール
◆【前走ローテ】シャフリヤールに“不安”データ、春GI直行組の「好走条件」を考察
◆【人気傾向】馬券内率“9割”の1人気を信頼も、単勝オッズ10倍台が台頭する
◆【動画プレーバック/天皇賞・秋2021】3番人気エフフォーリアが2強を堂々と破り19年ぶりの3歳馬の優勝を飾る
著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。