30日に東京競馬場で行われる天皇賞・秋(GI、芝2000m)の「血統傾向」を分析する。
今年の皐月賞、日本ダービーともに2着のイクイノックスや、札幌記念を制し勢いに乗るジャックドールをはじめ、プリンスオブウェールズS4着から巻き返しを狙う昨年のダービー馬・シャフリヤール、今年の日本ダービーで4着のダノンベルーガら、秋の中距離王決定戦にふさわしい一線級の馬が揃った。
ここでは、血統データから読みとく天皇賞・秋の推奨馬を紹介する。
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■スピードの持続力があるキングカメハメハの血
データは2017年以降の天皇賞・秋を集計。3着内馬の血統表は以下の通り。
初めに目が行くのがディープインパクト産駒をはじめとするサンデー系種牡馬の不振ぶり。サンデー系種牡馬は毎年多数出走しているが集計すると【1.4.2.38】(勝率2.2%、連対率11.1%、複勝率15.6%/単回収値6)。唯一勝利したのは、不良馬場で行われた2017年の1番人気キタサンブラックのみで軸にするなら馬連か3連複を選択すべきと言える。
対して、キングカメハメハ系種牡馬が【3.0.1.13】(勝率・連対率17.6%、複勝率23.5%/単回収値35)と最多の3勝をあげる活躍。勝利しているのは2019~20年と連覇したアーモンドアイやダービー馬・レイデオロと上位人気馬のみだが、18年に宝塚記念で8着に負けたことで人気を落としていたキセキが6番人気で3着に好走しているなど、ここの適性は高そうだ。
キングカメハメハ系が好走できる理由はコース形態とレース展開にある。東京芝2000mは、最後の直線距離が525.9mと長く、中間ラップが緩むスローの流れになって瞬発力勝負になりやすい。しかし天皇賞・秋はマイル路線からの強豪が多く参戦することもあり、中間が緩まず早い上がりも求められるタフなレース。つまりマイルよりのタフな「瞬発力勝負」になりやすく、スピードの持続力に富んでいるキングカメハメハの血が活きるわけだ。今回はキングカメハメハの血を持つ2頭を推奨馬としてピックアップしたい。
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1頭目は、トゥザグローリー産駒の6歳馬・カラテ。前走の新潟記念では、トップハンデ57.5キロを背負っていながら、中団追走から直線半ばで馬場の真ん中から抜け出しの復活勝利。6歳にして新味を出した当馬だが、2017年以降、父キングマンボ系×母父ヴァイスリージェント系の牡馬が東京の芝2000mに出走すると【3.4.0.12】(勝率15.8%、連対率・複勝率36.8%/単回収値77)と高い連対率を誇る。なかでも中4~15週のローテだと【3.1.0.6】(勝率30.0%、連対率・複勝率40.0%/単回収値148)。血統配合のデータから期待値が高い中7週のローテで挑む今回、穴馬候補としてこの馬を推奨したい。
2頭目は、ドレフォン産駒で母父キングカメハメハの3歳馬・ジオグリフをピックアップ。2走前の皐月賞では先に抜け出した同厩イクイノックスを捉え、1冠目を奪取。続く日本ダービーでは、距離が響いたか直線で脚が止まり7着。今回、皐月賞を勝った2000mに距離を戻し、手強い古馬相手にどこまで通用するか注目の1頭だ。また、2016年以降、父ノーザンダンサー系×母父キングカメハメハの牡馬が、3歳時に3歳以上クラスの左回りかつ芝レースに出走すると【3.4.0.6】(勝率23.1%、連対率・複勝率53.8%/複回収値76)と連対率が非常に高い。なかでも、キャリア10戦以内の馬に限ると【3.4.0.2】(勝率33.3%、連対率・複勝率77.8%/複回収値111)とサンプルは少ないが好走率は非常に高い。3歳馬と言えど完成度は古馬にも引けを取らない馬体の持ち主でこの馬も例外ではないだろう。皐月賞のように積極的な競馬をできれば一発ありそう。
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】ジャックドールは5枠9番 3歳馬イクイノックスとジオグリフは最多4勝の好枠に入る
◆【脚質傾向】4角5番手以内の“横綱競馬”が主流 勝算ありのジャックドール
◆【前走ローテ】シャフリヤールに“不安”データ、春GI直行組の「好走条件」を考察
◆【人気傾向】馬券内率“9割”の1人気を信頼も、単勝オッズ10倍台が台頭する
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天皇賞・秋2022予想コラム一覧
▼追い切り診断
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▼データ予想
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文●中井達也(SPREAD編集部)