11日は阪神競馬場で2歳牝馬のナンバーワンを決める阪神ジュベナイルF(GI、芝1600m)が行われます。阪神コース改修後となる2006年以降の優勝馬にウオッカ、ブエナビスタ、アパパネ、ラッキーライラック、ソダシなど名馬がズラッと並ぶ大出世レースです。
今回は阪神コース改修後となる2006年以降の過去データ、さらに2006年以降の阪神芝1600m戦の重賞過去データを基に気になる騎手データを見ていきます。後者の主な集計対象レースは桜花賞、朝日杯フューチュリティS、チューリップ賞、マイラーズC、アーリントンCなどです。
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目次
■阪神JFの過去データは…
今年の阪神ジュベナイルFに騎乗する騎手の中で、2006年以降の過去レースで騎乗経験があるのは13騎手。各騎手のデータは次の通りです。
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稀に算出されたデータを見て「うーん…」と唸るケースがあるのですが、今年の阪神ジュベナイルFがまさにそれ。好成績のC.ルメール騎手が香港遠征、同じく好成績の戸崎圭太騎手、福永祐一騎手が日曜は中山で騎乗のため、決め手に欠けるデータとなってしまいました。
石橋脩騎手、吉田隼人騎手が少ない騎乗数で結果を残せていますが、前者はラッキーライラック、後者はソダシで挙げたもの。人気馬に跨ることが多かったM.デムーロ騎手、川田将雅騎手の連対率は20%以下で、強調材料を欠きます。
そのため阪神ジュベナイルFの過去データで最終判断を下すのはベターではないと判断。今回はレンジを広げて騎手データを見ていきましょう。
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■石橋脩騎手が最も高い連対率35.7%
今年の阪神ジュベナイルFに騎乗する騎手の中で、2006年以降の「阪神芝1600m重賞」に騎乗経験があるのは17騎手。各騎手のデータは次の通りです。
先程の表と比べると、騎手ごとの巧拙がはっきりと出ていますね。着順と人気のバランスに優れる騎手は連対率がややもの足りず、今回は連対率20%以上を記録する4騎手を見ていきます。
まず、この条件で見逃せないのが最も高い連対率(35.7%)を記録の石橋脩騎手。5連対のうち3連対はラッキーライラックとのコンビですが、2010年アーリントンCは5番人気のコスモセンサーで見事優勝。注目は人気で【石橋脩騎手】×【5番人気以内】の組み合わせは【4.1.0.1】で連対率83.3%です。
同騎手は今年の阪神ジュベナイルFで前日9番人気のリバーラ(美浦・高柳瑞樹厩舎)に騎乗予定。ファンタジーSを勝ちながら伏兵評価に留まる同馬。一発は警戒しておきたいですね。
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■川田将雅騎手は人気時の勝率と複勝率が魅力
続いて4騎手の中で最多となる11勝を挙げる川田将雅騎手について見ていきましょう。同騎手の強みはレースでの安定感と勝率の高さに尽きます。
とりわけ2021年以降は素の数値が【5.1.3.3】の連対率50%。単勝回収率215%、複勝回収率153%ですから、ベタ買い推奨レベルです。さらに1~3番人気の成績は【4.1.1.0】と勝率66.7%、連対率83.3%、複勝率100%と堅実無比。
同騎手は前日1番人気のリバティアイランド(栗東・中内田充正厩舎)に騎乗予定。騎乗できるかは検査次第でしたが、どうやら日曜は無事騎乗できるようです。それなら堅軸と考えていいでしょう。
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■残る2騎手の成績も上々
最後に横山武史騎手、M.デムーロ騎手の成績を見ていきましょう。両騎手とも人気と比べると着順の落ち込みが見られますが、連対率と複勝率を考慮すると許容範囲でしょうか。
横山武史騎手は2022年桜花賞で1番人気のナミュールで10着に敗れてしまいましたが、ほか5鞍はほぼ人気通りの着順に導けていますね。ナミュール以外には2021年マイルCSのシュネルマイスター(2人気2着)、22年デイリー杯2歳Sのショーモン(番人気3着)で好走経験があります。
M.デムーロ騎手は2歳戦(阪神2歳GI)での勝率が魅力です。2015年朝日杯フューチュリティSのリオンディーズ(2人気1着)、18年同レースのアドマイヤマーズ(2人気1着)、そして昨年の阪神ジュベナイルFではサークルオブライフ(3人気1着)と1番人気以外の3頭を勝たせてきました。また、2010年阪神ジュベナイルFではライステラス(8人気3着)、20年同レースでもユーバーレーベン(6人気3着)を馬券圏内に導いていて穴でも怖い騎手ですね。
なお、横山武史騎手は前日2番人気のウンブライル(美浦・木村哲也厩舎)、M.デムーロ騎手は前日12番人気のミスヨコハマ(美浦・斎藤誠厩舎)に騎乗予定。前者は対抗候補、後者は穴馬候補として考えてみてください。
以上、阪神ジュベナイルFの気になる騎手データでした。データ注目騎手として今回はほぼ馬券絡みが見込める川田将雅騎手を推奨します。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。