今週は秋のGI開幕戦、第57回スプリンターズS(GI、芝1200m)が行われる。
今年は春の高松宮記念2着、スプリント重賞4勝のナムラクレアを中心に、前哨戦のセントウルSで1、2着のテイエムスパーダやアグリ、新興勢力のママコチャ、モズメイメイや、この路線の常連メイケイエールに、復権を期すGI馬、ピクシーナイトやナランフレグなど、どこからでも狙えそうな混戦模様だ。
そんな中、サマースプリントシリーズの王者に輝いたジャスパークローネが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【スプリンターズステークス2023予想/脚質傾向】ナムラクレアは“差し”なら黄信号 軸は「馬券内率44.4%」の戦法
目次
■サマー王者が好走する条件に当てはまらない
4歳を迎えた今年、本格化を果たしたジャスパークローネ。条件戦を連勝して挑んだ函館SSこそ最下位に沈んだが、続くCBC賞では、けれんみのない逃げを打ち後続を完封。重賞初制覇を果たすと、続く北九州記念でも再び逃げ切り勝ちを決め、見事にサマースプリントシリーズの王者に輝いた。
両レースとも、高い支持を集めた人気馬ではなかったが、重賞連勝を決めたことは、フロックではないことの証明。GIでも、その逃げ脚でターフを沸かせたいところだが、そうは問屋が卸さないのが、GIの舞台である。
まず、サマースプリント王者の、スプリンターズSでの成績が、あまり芳しくない点。2006年から始まった同シリーズだが、そのチャンピオンのスプリンターズSでの成績は【1.2.2.11】。過去17回で勝ったのは、19年タワーオブロンドンただ1頭だ。それでも、延べ5頭が複勝圏に来ているが、その5頭すべて、前走はセントウルSを使われた馬で、前走がそれ以外のレースでチャンピオンになった馬は、すべて着外に敗れている。
また、前走が北九州記念組の、過去10年のスプリンターズSでの成績は【1.1.1.18】。昨年はジャンダルムが北九州記念17着から見事に巻き返し、栄光を掴んだが、北九州記念1着から臨んだ馬4頭は、すべて本番で着外という結果に。15年ベルカントはサマースプリント王者に輝くも、スプリンターズSでは2人気13着に敗れており、4頭中3頭は、本番で2桁着順に沈む大敗だった。
加えて、逃げ馬にとってもスプリンターズSでは分が悪い。かつては、カルストンライトオやアストンマーチャンなど、逃げ切り勝ちを果たした例もあるが、過去10年の逃げ馬の成績は【0.3.1.6】と、逃げ切り勝ちはなし。前走で逃げた馬の成績も【0.2.1.16】と、善戦止まりだ。特に今回は、ジャスパークローネ以外にも、モズメイメイやテイエムスパーダなど、逃げたい“クチ”が多いだけに、すんなりとはいかないだろう。
鞍上の団野騎手にとっては、ファストフォースで制した高松宮記念に続く、異なる馬での同一年スプリントGI連覇のチャンスではあるが、連勝中の勢いをもってしても、今回は高いハードルと言わざるを得ない。夏の覇者だからといって、簡単に飛びつくことはせず、ここは静観に、思い切って「消し」でいきたい。
スプリンターズステークス2023 予想コラム一覧
騎手データ
◆【騎手データ】ナムラクレア・浜中Jに「0.0.1.22」の不安材料 回収値「500」の穴メーカーは……
追い切り診断
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◆【追い切り診断】人気上昇の一角は辛口評価 「体調面でドンと来いという状態では……」
データ攻略
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血統傾向
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穴馬予想
◆【穴馬アナライズ】「ナムラクレアと遜色ないはずが…」 想定“12人気”前後の爆穴
◆【穴馬アナライズ】「単勝オッズ10倍台はシメシメ」 前日“6人気”前後で妙味たっぷり
◆【穴馬アナライズ】「脚質的にはドンピシャにハマる」 単勝オッズ“30倍台”の盲点
◆【WIN5予想】“4億”的中のカギは「一点突破」のWIN3 メインはママコチャ“消し“で高配当狙い
枠順傾向・過去データ・前日オッズなど
◆【枠順】ナムラクレアの1番枠に暗雲 “勝率50%超”単勝で狙うべき馬は……
◆【前日オッズ】「ピンかパー」1人気にナムラクレア 10人気以下は過去10年で7頭台頭
◆【脚質傾向】ナムラクレアは“差し”なら黄信号 軸は「馬券内率44.4%」の戦法
◆【前走ローテ】サマースプリント組が中心 復活目指すメイケイエールに光明も
◆ナムラクレア 精神面成長で待望のG1初制覇へ 長谷川師「芯の入った走り方でした」
◆メイケイエール 攻めの姿勢でG1タイトルへ 武英師「しっかり負荷かけた」
◆アグリ 短距離馬王国の貫禄仕上げ 来年定年の安田隆師が最後のスプリントG1へ
著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。