【MLB】“コンドル”は再びマウンドで翼を大きく広げる クリス・セール完全復活を示すデータとは?

復活を遂げたブレーブスのクリス・セール
復活を遂げたブレーブスのクリス・セール(C)ロイター/USA TODAY Sports

2012年から18年まで7年連続で2桁勝利をマークし、その間99勝、1678三振を奪った“コンドル”ことブレーブスのクリス・セール投手が今季、当時に迫る好投をみせている。

35歳を迎えた名左腕はなぜ復活を遂げることができたのか。その答えはデータにも表れていた。

◆37号を放ったオズナ、三冠王争いは「気にしても仕方ない」 その理由は……「だって戦う相手の大谷翔平はロボットなんだから」とジョーク

■2010年代、イチローを手玉に取るなどメジャーを席巻

ナ・リーグ東地区で6連覇を達成しているブレーブスだが、今季は4月に昨年最多勝&最多奪三振のスペンサー・ストライダー投手が右肘の違和感を訴え、その後のトミー・ジョン手術でシーズンを終了。5月には昨年、MLB初の“40-70(40本塁打-70盗塁)”を達成し、満票でMVPを受賞したロナルト・アクーニャJr.外野手を左膝前十字靭帯断裂で失い、打線も低調が続くなか、首位フィリーズを追走している原動力となっているのが投手陣。なかでも、チームトップ&リーグトップの14勝(3敗)を挙げる力投をみせているのがセールだ。

セールは2010年のドラフト1巡目(全体13位)でホワイトソックスに入団し、ドラフト指名から2カ月後にメジャーデビュー。12年から先発に転向すると、その年、マリナーズからシーズン途中にヤンキースへ移籍したイチロー外野手と10度対戦し、安打は二塁打1本のみで奪三振4、打率.100と手玉に取った。18年まで7年連続で2桁勝利をマーク。17年には308奪三振でタイトルを獲得するなど、メジャーを代表する左腕として君臨した。

【実際の映像】ホワイトソックス在籍時のセールの快投シーン(2014年)

しかし、17年のレッドソックス移籍後、20年にトミー・ジョン手術を受けるなど低迷。21年以降3シーズン合計で11勝止まりとキャリアは終焉を迎えるかに思われたが、今季ブレーブス移籍後に突然復活。前半戦で13勝(3敗)を挙げ、18年以来のオールスターにも選出された。

Advertisement


■速球の平均球速94.8マイルは全盛期並み

今季のセールの好投をデータで見ると、速球の平均球速が2018年の全盛期と同じ94.8マイル(約152.6キロ)にアップしている。キャリアで初めて4シームよりもスライダーを中心に投球を組み立て、ハードヒット率は29.3%と激減。初球ストライク率70.3%はキャリアハイと攻めの投球をみせていると言えよう。

後半戦4試合では防御率2.19と好投も、打線の援護なく勝ち星はつかなかったが、17日(日本時間18日)のエンゼルス戦では6回を投げ6安打2失点、11得点の援護を受け14勝目をマークした。この日のセールの投球に、“ピッチング・ニンジャ”で知られる投球分析家のロブ・フリードマン氏は自身のSNSで「(自身に)腹を立てたクリス・セールは、私のお気に入りのクリス・セールだ」と、ワイルドピッチで失点を許したセールが、次の投球で今季最速の気迫のこもった99マイル(約159.3キロ)の高めの4シームで10個目の三振を奪った動画を投稿した。

【実際の映像】暴投直後に気迫の99マイル! セールのプライドが垣間見えた投球シーン

18日(同19日)時点で、勝利(14)、防御率(2.62)、奪三振(187)はリーグトップ。翼を広げるような投球フォームから“コンドル”の愛称を持つセールが、今季再び大きく翼を広げている。このまま全盛期のような無双の投球を続け、苦戦するチームをポストシーズンンに導くことができるか。メジャー15年目、35歳で復活したセールの気迫のこもった投球を目に焼きつけたい。

◆大谷翔平のライバルが三冠王へ急接近「ナ・リーグ真のMVP」 オズナが月間打率.357で首位打者に君臨、地元メディアも称賛

◆「MVP競争に終止符を打った」大谷翔平を“優位”と評価した理由とは……海外ブックメーカーの見解を分析

◆ドジャースが「元CY賞投手に賭ける可能性」 大谷翔平、山本由伸らと強力ローテ形成へ、ガーディアンズ右腕に白羽の矢