【アルゼンチン共和国杯/危険な人気馬】今年も“キレ馬”の台頭か 難解なハンデ戦で「買うべきではない」1頭とは

今週は東京競馬場で第59回・アルゼンチン共和国杯(GII、芝2500m)が行われる。昨年の覇者オーソリティ、前走のオホーツクSを快勝しOP入りを果たしたアンティシペイト、前走の丹波Sで2着に好走するなど着実に力を付けてきたボスジラ、素質馬フライライクバードなどが出走予定だ。

ここではアルゼンチン共和国杯の好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてアンティシペイトを取り上げたい。

◆【AR共和国杯2021/脚質傾向】逃げ馬の実績なし、府中長距離で上がり最速を記録した惨敗馬に注目

【アルゼンチン共和国杯/脚質傾向】逃げ馬の実績なし、府中長距離で上がり最速を記録した惨敗馬に注目

■アンティシペイトの明と暗

まずは、アンティシペイトの近3走について考察する。

3走前の美浦Sはマイナス12キロの馬体減で挑んだ一戦だったが、五分のスタートをきり中団外目の7番手に構え、末脚を溜める競馬となった。道中は何度か行きたがる素振りをみせたものの、鞍上が上手くなだめて直線内からスルスルと抜け出しにかかるも、外伸びのトラックバイアスだった影響もあり末脚を伸ばせず4着に敗れた。

1年ぶりに府中に戻ってきた2走前のジューンS。シルヴァーソニック、メロディーレーンなど長距離に実績のある骨っぽいメンバーが揃う一戦となったが、好スタートから3番手につけ先行策にうって出た。4コーナーに入り鞍上が促すと徐々に加速し、上がり3位タイとなる34秒6の持続性のある末脚で先に抜け出すシルヴァーソニックを目標に交わそうとするもクビ差及ばず2着となった。

そして前走のオホーツクS。実績のある右回り×洋芝というこの馬にとって好条件下でのレースとなったが、五分のゲートから9番手に控える形で競馬を進めて直線に入ると溜めた脚を一気に開放し、上がり最速タイとなる34秒7の末脚で迫るソルドラードらを封じて勝利した。

今年に入り掲示板を外していない戦歴からも「メンバー上位の安定感があり、馬場条件問わず自在に脚を使って好走できる」と評価でき、また3歳秋の菊花賞に登録するなど(抽選で出走できず)、陣営がこの時点から長距離適性を見抜いていたことがうかがえる。

しかし、今回はオーソリティやアドマイヤアルバ、サトノソルタスなど実績上位の馬が相手となり、重賞の流れを経験したことのないアンティシペイトには一抹の不安が残る。

■アンティシペイトの末脚は通用するのか

次にアンティシペイトの近走の上がりのタイムについて分析する。

以上のように、近5走(2000m以上)で「34秒台」の末脚をマークしたのはオホーツクSとジューンS、美浦Sの3回で、前走のオホーツクSではデビュー以来初となる上がり1位の末脚をマークした。アルゼンチン共和国杯では「上がり1位馬の複勝率90.9%」のデータがあり、近走でも末脚が崩れないアンティシペイトに対して期待が大きくなることは当然だろう。

しかし、これまで体験したのはオープン以下のレースの流れだったことに加え、デビュー以降で「34秒前半」の上がりをマークできていないアンティシペイト。3歳時には菊花賞に登録するなど長距離で期待されていたものの、その後、あまり成長が見らないなかで、ハンデ55キロは荷が重いように思える。

■アルゼンチン共和国杯は「キレ馬」を狙え

次にはアルゼンチン共和国杯の好走パターンについて分析する。

2000m【1-1-3-31】勝率2.8%、連対率5.6%、複勝率13.9%
2200m【5-2-2-23】勝率15.6%、連対率21.9%、複勝率28.1%
2400m【3-5-4-34】勝率6.5%、連対率17.4%、複勝率26.1%
2500m【1-0-0-9】勝率10.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%
2600m【0-1-0-25】勝率0.0%、連対率3.8%、複勝率3.8%

このように前走から距離延長のローテを歩んできた馬が馬券内の大半を占めており、特に前走2200m組は勝率15.6%、連対率21.9%、複勝率28.1%の好成績を収めている。近10年で見るとレース以前にマイル重賞で勝利経験がある馬の好走が増えている。

またアンティシペイトの前走は札幌のレースだったが、札幌開催からアルゼンチン共和国杯に挑んできた馬の成績は【0-1-0-23】と絶不調で、2019年の2着タイセイトレイルしか馬券圏内に好走できていない。

アルゼンチン共和国杯は、上がり1位の末脚を記録した馬が近5年で「複勝率100%」を記録しているようにスピード決着になりやすいレースでもある。つまり馬場を問わず早い上がりに対応できる馬が好走可能な舞台というわけだ。つまり自在に立ち回れるのがアンティシペイトの強みだろうが、確立した末脚を持っていないため、他のキレのある馬に分があるというわけだ。

■馬券の妙味を考えると最終結論は「消し」

菊花賞に登録していたほどの素質馬が初の重賞挑戦でどんな走りを見せるか注目ではあるが、馬券の妙味を考えると、ここは「消し」の評価とする。

本命には、前走のムーンライトH(3勝クラス)を上がり最速の末脚で差し切った素質馬フライライクバードを指名する。昨年の青葉賞でも2番人気に推されたほどの素質馬だったが、馬体が思いのほか成長しない現状がありデビュー時の馬体重は472キロ→前走458キロと兄弟馬に比べてコンパクトな体の造りとなっている。それでも上がりは33秒台後半~34秒前半の末脚を持っており、近走も磨きがかかっている印象。一戦必勝タイプで岩田望騎手の初重賞制覇はここか。人気を落とす今回が絶好の狙い目とみた。

対抗はロードマイウェイ。前走京都大賞典では大外から脚を伸ばしてきたが追走に脚を使ってしまった影響もあり、脚が溜まりきらなかった。良馬場の東京ではコンスタントに上がり33秒台をマークしているだけに好走を期待できる。距離延長+剛腕騎手の乗り替わりでアタマまで狙ってみたい。

以下、押さえでレクセランスマイネルウィルトスディアマンミノルコトブキテティスとする。コトブキテティスは生粋の東京長距離巧者で、今年に入ってからも東京競馬場で【2-0-0-1】と好調。速い上がりも使えるタイプで51キロの最軽量ハンデもプラスに働くだろう。ハンデ戦特有の厳しい流れになると想定したときに後方からこの馬が脚を伸ばして上位入線する確率が高い。波乱の立役者に指名する。※なおコトブキテティスはアルゼンチン共和国杯を回避。(エリザベス女王杯に特別登録)

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文・西舘洸希(SPREAD編集部)


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