今年最後の中央GI、第39回ホープフルS(GI、芝2000m)は、東スポ杯2歳Sを制したガストリック、京都2歳Sを制したグリューネグリーンといった重賞ウイナーに加え、同舞台の葉牡丹賞を勝って臨むミッキーカプチーノや、東スポ杯2歳S3着のハーツコンチェルト、野路菊Sを制したファントムシーフなど、多士済々なメンバーが揃い、来春のクラシックを占う意味で重要な一戦だ。
そんな中、出世レースとも言われる東スポ杯2歳S覇者ガストリックが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■右回り未経験、関東馬、鞍上…漂う不安要素
近年の東スポ杯2歳Sの勝ち馬といえば、のちにGIを勝つ馬を多く輩出しており、昨年は、先日の有馬記念を制したイクイノックスが制覇、2017年ワグネリアンや19年コントレイルは、翌年のダービーを制するなど、もれなく勝ち馬は出世コースに乗っている。
今年の勝ち馬ガストリックも、東スポ杯2歳Sでは1分45秒8の好時計で快勝。馬場やペースの違いなどもあり、単純な比較はできないが、イクイノックス(1分46秒2)やワグネリアン(1分46秒6)よりも速い時計をマーク、コントレイル(1分44秒5)に次ぐ、レース史上2番目に速いタイムで制しており、おそらく将来の飛躍は約束された存在と言えるだろう。
しかし、同馬が即ホープフルSで勝ち負けできるかというと、時期尚早と判断する。
まず、デビューから2戦、東京コースしか経験がなく、今回右回りが初めてという点。17年のGI昇格以降、ホープフルSの1、2着馬10頭はすべて、少なくとも1回は右回りのコースを経験している。
新馬、東スポ杯2歳Sの2戦2勝、ガストリックと同様のローテでホープフルSを制した19年コントレイルや20年ダノンザキッドも、デビュー戦では阪神コースを勝っており、右回りの経験があった。一方、昨年のコマンドラインは、新馬、サウジアラビアRCと、東京コース2連勝で1番人気に支持されるも、本番では12着に大敗。右回り未経験という点が、少なからず影響を及ぼしている可能性は高い。
また、17年以降の過去5年、関西馬が5連勝で【5.4.2.32】と、成績的で圧倒している一方、関東馬は【0.1.3.26】と明らかに分が悪い。今年の平地GIは、関東馬11勝、関西馬12勝とほぼ互角の戦いを演じているが、このレースに限っては、関西馬への“馬場貸し”という状況になるだろう。
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最後に、鞍上の三浦皇成騎手と言えば、いまだ中央GI未勝利で、その成績は【0.2.7.99】。先日の有馬記念でGI通算108連敗となり、現役騎手ではワーストの成績だ。最後に複勝圏内に入ったのも、18年天皇賞・春3着が最後で、近2年では掲示板すらない。
この108連敗中、1番人気への騎乗はなく、2~3番人気以内の騎乗もわずか3頭と、チャンスのある馬が多かったわけではない。しかし、20年ホープフルSでは、2番人気のランドオブリバティに騎乗し、競走中止になるなど、嫌な記憶も蘇る。これらを総合的に判断し、将来性は高くとも、今回のガストリックは思い切って「消し」でいきたい。
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文●SPREAD編集部