春の古馬中距離王決定戦、第67回大阪杯(GI、芝2000m)は、桜花賞、オークスを制した二冠牝馬スターズオンアースをはじめ、エリザベス女王杯覇者ジェラルディーナなどGI馬5頭が参戦。加えて、中山記念を勝って臨むヒシイグアス、ジャパンC3着のヴェルトライゼンデ、香港帰りのジャックドールなど、GI初制覇を狙う好メンバーが揃い、一筋縄ではいかない一戦となりそうだ。
そんな中、近走充実の6歳ヴェルトライゼンデが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■年齢とコース経験値がモノをいう舞台
ホープフルS2着、ダービー3着など、早い時期から第一線で活躍しているヴェルトライゼンデ。勝ち味に遅かったが、昨年の鳴尾記念で重賞初制覇を果たすと、ジャパンCでは勝ち馬から0秒1差の3着に好走、今年は日経新春杯で重賞2勝目を飾り、6歳を迎えても、さらに本格化を果たした印象だ。
しかし、大阪杯はフレッシュな馬が幅を利かせている舞台。2017年にGI昇格以降の過去6年、勝ち馬はいずれも4歳か5歳の馬で、6歳以上の馬の成績は【0.1.0.24】と、好走したのは17年2着のステファノス(6歳)のみ。近年は、複勝圏内にすら入れず、苦戦を強いられている。
また、過去6年の前走別成績では【4.5.4.45】と、3着以内の延べ18頭中14頭がGII組が中心となっているが、そのほとんどが、金鯱賞・中山記念・京都記念の3鞍。日経新春杯組は【0.0.0.3】と、直行するパターンは少ないものの、大阪杯との結びつきはやや薄く、この点も強調材料とはいえないだろう。
さらに、関西馬ながら、デビュー以来一度も阪神コースを経験していないヴェルトライゼンデだが、過去6年の大阪杯で、阪神が未経験だった馬の成績は【0.0.1.12】で、こちらもマイナス材料。優勝馬6頭中5頭は、阪神で3着以内率100%をマークしているように、コース経験・巧拙も、大阪杯を制するには重要なファクターだ。
本馬自身も、左回りは【2.1.2.0】と好成績を収めているが、右回りは【2.3.0.3】と取りこぼしも目立つ。鞍上に絶好調の川田将雅騎手を迎え、万全の態勢にも思えるが、永久に勝ち続けるわけでもなく、そろそろ小休止の頃合いか。馬自身のデータ面では買いの材料が少なく、ここは思い切って「消し」でいきたい。
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著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。