6日に中山競馬場で第59回・弥生賞(GII、芝2000m)が行われる。無敗で朝日杯フューチュリティSを制したドウデュース、前走京成杯で2着に好走したロジハービン、京都2歳Sを制したジャスティンロック、ホープフルSで3着に好走したラーグルフなどが出走予定だ。
ここでは弥生賞の好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてドウデュースを取り上げたい。
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■無敗で制した朝日杯
まずはドウデュースの前走朝日杯フューチュリティSについて分析する。
馬体重が10キロ減だったがパドックではボリューム感は失っておらず、ここ目標にきっちりと絞り込めた馬体で当日を迎えた。レースではまずまずのスタートから道中10番手付近で競馬を進めた。初めてのマイル戦でも戸惑うことはなく折り合って行きっぷり良く追走し、3コーナー付近からセリフォスからプレッシャーを受けるも直線に入ってしっかりと反応し、馬場中央から差し切る強い内容だった。
無敗の3連勝で2歳マイル王の称号を手にしたことに加え、これまで小倉、東京、阪神と異なる競馬場で結果を出している戦歴からも「世代トップクラスのスピード能力を保持し、マイル前後で堅実に末脚を使えるGI馬」と評価できるだろう。また、乗り替わりの多い2歳戦において4戦連続で武豊騎手が騎乗することに加え、前走朝日杯FS組が【1-2-3-2】 勝率12.5%、連対率37.5%、複勝率75.0%と好成績を収めていることも踏まえると、今回も好走の期待が高まるのは当然だろう。
しかし、今期のハーツクライ産駒は中山競馬場(芝)で【3-2-2-19】(単勝回収値36)と出走頭数の割には振るわない成績になっていることに加え、前走で下した3着馬ダノンスコーピオンや4着馬アルナシームが次戦で人気を背負うも敗戦してしまっている現状も踏まえるとレースレベルは高かったと評価できるものではないため、ドウデュースに一抹の不安が残る。
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■朝日杯のラップに隠された罠
次に、直近6年間で前走朝日杯フューチュリティSからのローテで馬券内に好走した3頭のラップタイムを分析してみる。
▼ラップタイム
・【2021年】12.6-10.6-11.1-11.9-12.1-11.9-11.2-12.1
・【2017年】12.6-10.8-11.8-12.0-12.1-11.3-11.0-11.7
・【2015年】12.5-10.8-11.4-12.6-12.7-11.9-10.8-11.7
直近6年で朝日杯フューチュリティSからのローテで好走した2017年ダノンプレミアム(1着)、2015年リオンディーズ(2着)、エアスピネル(3着)の3頭はいずれも後傾ラップの朝日杯を好走したのち弥生賞でも上位入線を果たしていた。皐月賞の前哨戦+少数頭の弥生賞はスローペースになりやすく、上がり最速馬が8年連続で馬券に絡んでいることからもラスト3Fの切れ味が求められる舞台設定となっていることが分かる。
ドウデュースは前走で上がり最速の末脚で勝利しているものの、前半34秒3→後半35秒2のラップタイムが示す通り、前半のタイムが1秒1速いような「ハイペース」のラップ形成だった。昨年の朝日杯はカジュフェイスやトウシンマカオ、プルパレイといったスプリント色の強い逃げ馬が多数揃っていた影響もあり2F~4Fが全て11秒台を記録しており、道中10番手付近に待機していた差し馬が台頭する流れとなった。
つまり、前走で前半11秒台を3度マークするような前傾ラップを経験してしまったドウデュースは想定以上のスローペースに混乱してしまい、アイビーSでもみせた「掛かり癖」が出てしまう可能性も低くはない。鞍上が促してからの反応の良さはメンバー最上位だが、反応が良すぎるが故に脚の使いどころが難しいタイプでもあることから全幅の信頼は置けない。
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■馬券のヒントは「未来の長距離適性馬」を探せ
次に直近4年の弥生賞で上位入線を果たした馬のその後の成績について分析してみる。
このように、直近4年で馬券に絡んだ12頭のうち6頭はその後2000m以上の重賞で好走していることが分かる。さらに直近3年で絞ると、4角5番手以内で先行した上位入線馬が、その後の菊花賞やダイヤモンドS、アルゼンチン共和国杯といった長距離レースで活躍していることが分かる。これはスローペースかつ後半勝負といった弥生賞のラップ形成が菊花賞などの長距離レースのラップと相似しているため、その後の適性や路線選択に影響を及ぼしていることが考えられる。
つまり、近年の弥生賞の適性は「スプリント寄りのハイペース経験馬」ではなく、「長距離寄りのスローペース経験馬」という形に変化しているのだ。ドウデュースはデビュー戦で小回りの小倉芝1800mを選択し、2戦目には東京芝1800mのアイビーSに駒を進め、前走は阪神マイルを選択していることから、皐月賞に標準を合わせるために中山2000mを経験させたいといったところだろう。
しかし、今回の登録馬12頭のうち10頭は前走1800m以上を経由してきた馬で、マイル経由はドウデュースとインダストリアの2頭だけというメンバー構成からもドウデュースが好走する事ができた「ハイペース」になることは考えにくく、展開不向きで掛かってしまい直線伸びず。という展開も十分に考えられることから人気以上に軽視する必要があるのではないか。
以上の理由からドウデュースは消しの評価。「後編」ではドウデュースに代わる本命、そして穴馬4頭を含めた結論を紹介する。
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▼その他、穴馬予想
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弥生賞ディープインパクト記念2022予想コラム一覧
▼追い切り診断
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▼データ予想
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▼その他、過去10年データ傾向
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文・西舘洸希(SPREAD編集部)