伝統の長距離重賞、第71回阪神大賞典(GII、芝3000m)は、レース3連覇を狙うディープボンドと、菊花賞、有馬記念で連続2着のボルドグフーシュ、菊花賞3着ジャスティンパレスの4歳勢2騎が三つ巴の様相。加えて、昨年の当レース2着アイアンバローズや、アルゼンチン共和国杯覇者ブレークアップなど、長距離自慢が集結し、天皇賞・春へ向けた激しい戦いが予想される。
そんな中、GIで連続2着と勢い十分の4歳馬ボルドグフーシュが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■トップジョッキー川田の弱点とは
ボルドグフーシュは、春のクラシックこそ間に合わなかったが、一戦ずつ階段を上り、神戸新聞杯3着で菊花賞の権利を取ると、本番では長く良い脚を使ってハナ差の2着と、あわや大金星の激走。続く有馬記念でも、勝ち馬には差をつけられたが、マクリ気味に進出して、上がり最速の末脚で2着。近7走はすべて上がり最速の切れ味は魅力的で、ここでも有力馬の1頭として名を連ねる。
今回は鞍上に川田将雅騎手を配し、万全の体勢で初重賞制覇に臨むが、この乗り替わりがやや不安材料と言わざるを得ない。
昨年は騎手大賞も受賞し、今年も先週末時点で全国リーディングをひた走る川田騎手だが、意外にも長距離重賞ではあまり好結果を残していない。デビュー以降、3000m超えの長距離重賞での成績は【1.2.4.34】勝率2.4%、連対率7.3%、複勝率17.1%。勝ったのは2010年菊花賞のビッグウィークのみで、それ以来約13年近く、3000m超えの長距離重賞を勝利していないのだ。
その間、人気馬にも騎乗しているが、その成績は、1番人気【0.1.1.3】、2番人気【0.0.1.4】と決して褒められる成績ではなく、天皇賞・春に至っては、【0.0.0.15】とデビュー以来一度も複勝圏内すら入ったことがない。
ちなみに、今回の有力馬ジャスティンパレスとディープボンドに騎乗する、C・ルメール騎手、和田竜二騎手の、3000m超えの長距離重賞成績は、以下の通り。
ルメール騎手
【7.3.6.11】勝率25.9%、連対率37.0%、複勝率59.3%
和田竜二騎手
【7.6.4.36】勝率13.2%、連対率24.5%、複勝率32.1%
武豊騎手(参考)
【22.14.10.40】勝率25.6%、連対率41.9%、複勝率53.5%
彼らの成績と比較すると、川田騎手の成績はどうしても物足りなく映ってしまう。
ちなみに過去10年、阪神大賞典での騎手別成績で、継続騎乗の場合は【7.6.6.21】、乗り替わりの場合は【3.4.4.56】となっており、前走と同じ騎手が乗っているほうが、良績となる割合は大きい。今回の上位人気3頭に支持されそうなボルドグフーシュ、ディープボンド、ジャスティンパレスは、すべて乗り替わりなのだが、そうなると“長距離は騎手で買え”の格言通り、川田騎手は割り引かざるを得ないだろう。
今やJRAナンバーワンの座についた川田騎手だけに、長距離だから苦手、という判断は失礼かもしれないが、データ上ではやはり不安材料が残る。GI連続2着と勢いに乗っているボルドグフーシュだが、あくまで重賞は未勝利の身。配当妙味を考えると、ここは思い切って「消し」でいきたい。
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著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。