第167回天皇賞・春(GI、芝3000m)は、昨年の覇者で大会連覇を狙うタイトルホルダーをはじめ、アスクビクターモア、ボルドグフーシュ、ジャスティンパレスと昨年の菊花賞1~3着馬が勢揃い。加えて、2年連続2着のディープボンドや、サウジの重賞勝ちで勢いに乗るシルヴァーソニックなど、長距離戦線のトップランカーが集結し、新装・京都競馬場最初のGIにふさわしい好メンバーが揃った。
そんな中、前哨戦の阪神大賞典を制したジャスティンパレスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【天皇賞春2023予想/追い切り診断】タイトルホルダーを上回る「S」の最高評価 「絶対王者を下すなら」
Advertisement
■菊花賞敗戦馬が人気でも、勝つのは…
天皇賞・春で勝敗を分けるのは、菊花賞馬か否か―。この1点に尽きる。2015年以降の勝ち馬は、菊花賞馬が不在だった18年を除き、すべて菊花賞馬が制覇。18年も菊花賞2着だったレインボーラインが制しており、天皇賞・春は菊花賞馬(不在時は最先着馬)であることが最も有利な材料だ。
今年はレース連覇を狙うタイトルホルダーと、アスクビクターモア、2頭の新旧菊花賞馬が顔を揃え、この2頭どちらかが、勝ち馬の有力な候補と言える。しかし、アスクビクターモアは前走の日経賞で出遅れも響き9着に大敗。その影響か、ここでは人気を落としそうな気配で、一方、阪神大賞典で勝ち負けを演じたジャスティンパレスとボルドグフーシュのほうが、人気は上昇しつつある。
昨年の菊花賞では、アスクビクターモアの後塵を拝したジャスティンパレスとボルドグフーシュだが、1~3着までの着差はわずか0秒1差。展開次第では、着順が入れ替わっていた可能性は高く、この3頭の実力差は大きくないだろう。
だが、菊花賞馬になれなかった“格”というものは大きいと考える。2012年~21年、過去10回の菊花賞での成績別、天皇賞・春での成績は以下の通り(※成績は延べ頭数)。
菊花賞1着馬【7.0.1.4】
菊花賞2着馬【1.0.1.8】
菊花賞3着馬【0.0.0.6】
菊花賞で2、3着と着順が落ちるにつれて、天皇賞・春での結果も悪くなっており、近年は菊花賞3着馬は天皇賞・春での複勝圏内は皆無だ。
17年以降の天皇賞・春で【3.3.0.0】と近年はパーフェクト連対を示す1番人気。そこに収まりそうなタイトルホルダーの信頼度は抜群だ。また、アスクビクターモアは人気を落としそうだが、菊花賞馬という看板があれば、かえって美味しい配当となるだろう。
一方、阪神大賞典では好位から抜け出し、上がり最速の決め手でボルドグフーシュを封じて見せたジャスティンパレス。そのパフォーマンスの高さや、引き続きC.ルメール騎手騎乗で、人気を集めそうな様相だが、人気ほどの信頼感が置けない“菊花賞3着”という実績は大いなるネック。配当妙味を考えても、ここは思い切って「消し」でいきたい。
◆【天皇賞春2023予想/データ攻略】“死角の少ない”ハイレベルな4歳馬に「4.0.1.0」 GI制覇への準備は整った
▼その他、穴馬予想
◆【穴馬アナライズVol.1】前日“8人気”前後の伏兵 「前走以上の上昇度で勝負圏内」
◆【穴馬アナライズVol.2】単勝オッズ“2桁”の盲点 「馬場が渋れば人気以上の期待値」
◆【穴馬アナライズVol.3】想定“6人気”前後の妙味 「人気落ちの今こそ買いの判断」
天皇賞・春2023予想コラム一覧
▼騎手データ
◆【騎手データ】伏兵に騎乗のベテランは穴候補 条件合致で複勝率100%の2人に注目
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】想定“8人気”が重賞馬を上回る高評価 「素質馬が能力全開」
◆【追い切り診断】タイトルホルダーを上回る「S」の最高評価 「絶対王者を下すなら」
◆【追い切り診断】前走快勝の人気一角は辛口「B」評価 「逆転される可能性」
◆【追い切り診断】ジャスティンパレスを超える高評価「A」 「昨年以上の調整過程」
▼データ攻略
◆【データ攻略】“死角の少ない”ハイレベルな4歳馬に「4.0.1.0」 GI制覇への準備は整った
◆【データ攻略】上位人気の4歳馬に「2.1.2.0」 新・京都での“鬼脚炸裂”を警戒
◆【データ攻略】“想定10人気”以下に激走警報 連対率60%の名手で大駆けに期待
◆【データ攻略】人気落ちの実力馬に逆襲の予感 「2.2.0.2」の“経験値”がGI初Vへ導く
◆【WIN5予想】メインとスイートピーSは前走完勝馬で「一点突破」 荒れる京都10Rは”想定2桁”も押さえ高配当狙い
▼血統傾向
◆【血統傾向】前走敗戦から“V字”巻き返しの予感 「6.8.3.18」で信頼の軸候補にプラス要素
◆【血統傾向】馬券内率“6割”超の重賞未勝利馬に注目 多頭数のレースで波乱を巻き起こす
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】タイトルホルダーらの“内枠+先行”は好相性 人気以上に走る「好枠」には……
◆【前走ローテ】ジャスティンパレスが“絶対条件”クリアも、前例なき臨戦過程に刺客
◆【脚質傾向】タイトルホルダーは“逃げ”なら黄信号 前走惨敗の馬に再浮上の余地
◆【人気傾向】歴史的名馬も“ぶっ飛ぶ”鬼門の1人気 3年連続3着の4人気に警戒
著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。