30日は京都競馬場で格式高い長距離GIの天皇賞・春(GI、芝3200m)が開催されます。京都競馬場で行われるのは2020年以来3年ぶりですね。
今回は京都開催の2000年から20年のデータを基に、気になる騎手データを見ていきます。
◆【天皇賞春2023予想/追い切り診断】タイトルホルダーを上回る「S」の最高評価 「絶対王者を下すなら」
Advertisement
■データ上、武豊騎手に穴の資格あり
今年の天皇賞・春に騎乗する騎手の中で、2000年から20年にかけて騎乗経験があるのは13騎手。各騎手のデータは次の通り。
[2000年から2020年]天皇賞・春の騎手別成績
「長距離は騎手で買え」という古くからの格言があるように、騎手の技量が結果に大きく影響するのが長距離戦です。その格言に間違いはなく、13騎手中トップの連対率を誇るのがレジェンド・武豊騎手です。
まず、武豊騎手のデータから見ていきましょう。2004年のリンカーン(1人気13着)、14・15年のキズナ(ともに1人気で4、7着)のように人気で負けたケースも見られますが、全騎手で最多となる集計期間内7度の連対が光りますね。
2006年のディープインパクト(1人気1着)、16年のキタサンブラック(2人気1着)、17年のキタサンブラック(1人気1着)で集計期間内3勝を挙げていますが、武豊騎手の天皇賞・春通算勝利数は驚きの8勝。この騎手ほど勝ち方を知る騎手はいません。
注目ファクターは騎乗馬の前走着順で、【武豊騎手】×【前走2着以内】は【3.3.2.3】で連対率54.5%、複勝率72.7%です。そんな武豊騎手が今年の天皇賞・春で騎乗予定なのが前日17時時点9番人気のヒュミドール(セ7、美浦・小手川準厩舎)。
集計期間内16回中15回は3番人気以内の馬に跨ってきただけに、同騎手が伏兵馬に跨るのは異例中の異例。伏兵人気でどうかは、データから分かりかねますが、ヒュミドールは前走のダイヤモンドSで2着に激走してい好走データに合致。押さえて損はなく、穴の資格ありと見ています。
◆【天皇賞春2023予想/データ攻略】“死角の少ない”ハイレベルな4歳馬に「4.0.1.0」 GI制覇への準備は整った
■北村友一騎手は穴メーカー
続いて少ない騎乗機会で連対率25.0%、複勝率50.0%と好成績の北村友一騎手のデータを見ていきます。2019年のパフォーマプロミス(8人気3着)、20年のスティッフェリオ(11人気2着)で2年連続穴を開けた同騎手。
上記2頭の共通点はステイゴールド産駒だったことが挙げられますが、社台系の一口クラブ所有馬でもありました。【北村友一騎手】×【ステイゴールド産駒】または【社台系の一口クラブ所有馬】は【0.1.1.0】で連対率50.0%、複勝率100%ですね。
そして今年の天皇賞・春で北村友一騎手が手綱を握るのが前日17時時点12番人気のディアスティマ(牡6、栗東・高野友和厩舎)。人気を見てしまうと買いづらいと感じてしまうかもしれませんが、同馬はサンデーレーシングの所有馬で、過去の騎乗馬と同様の激走がもしかしたらあるかもしれません。
◆【天皇賞春2023予想/穴馬アナライズVol.3】想定“6人気”前後の妙味 「人気落ちの今こそ買いの判断」
■人気のルメール騎手は買い
続いて連対率、着順と人気のバランスとも優れるC.ルメール騎手のデータを見ていきましょう。2017年のサトノダイヤモンド(2人気3着)、19年・20年のフィエールマン(ともに1人気1着)と3度の馬券絡みがある同騎手。
注目ファクターは人気で、【C.ルメール騎手】×【当日2番人気以内】の組み合わせは【2.0.1.0】の勝率・連対率66.7%、複勝率100%です。さて、今年の天皇賞・春でC.ルメール騎手が騎乗予定なのが前日2番人気のジャスティンパレス(牡4、栗東・杉山晴紀厩舎)。
この人気が当日まで続くようなら「堅軸」として考えてみてください。馬単や3連単のアタマに最適だと思います。
◆【天皇賞春2023予想/追い切り診断】ジャスティンパレスを超える高評価「A」 「昨年以上の調整過程」
■タイトルホルダーに跨る横山和生騎手は
最後に圧倒的な人気が予想されるタイトルホルダー(牡5、美浦・栗田徹厩舎)に騎乗する横山和生騎手について考えていきます。同騎手は京都開催の天皇賞・春に初騎乗となるため、過去データは使えません。また、京都芝3000m以上のレースでも騎乗経験がありません。
そこで少し乱暴なデータ集計となりますが、2000年以降の芝3000m以上のレースデータを見ていきましょう。その結果は【1.0.0.9】連対率10.0%で、その1勝が昨年のタイトルホルダーです。
超長距離戦で結果を残せていない状況にも関わらずGIをあっさり勝利してしまった「データブレイカー」な存在ですね。それだけに軽く扱うことはできず、最低でも対抗級の扱いは必要と考えます。
以上、天皇賞・春の気になる騎手データでした。データ注目騎手はジャスティンパレスに騎乗予定のC.ルメール騎手です。天皇賞・春で人気のC.ルメール騎手は「買い」と覚えておきましょう。2週連続の重賞制覇に期待します。
◆【天皇賞春2023予想/データ攻略】上位人気の4歳馬に「2.1.2.0」 新・京都での“鬼脚炸裂”を警戒
天皇賞・春2023予想コラム一覧
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】想定“8人気”が重賞馬を上回る高評価 「素質馬が能力全開」
◆【追い切り診断】タイトルホルダーを上回る「S」の最高評価 「絶対王者を下すなら」
◆【追い切り診断】前走快勝の人気一角は辛口「B」評価 「逆転される可能性」
◆【追い切り診断】ジャスティンパレスを超える高評価「A」 「昨年以上の調整過程」
▼データ攻略
◆【データ攻略】“死角の少ない”ハイレベルな4歳馬に「4.0.1.0」 GI制覇への準備は整った
◆【データ攻略】上位人気の4歳馬に「2.1.2.0」 新・京都での“鬼脚炸裂”を警戒
◆【データ攻略】“想定10人気”以下に激走警報 連対率60%の名手で大駆けに期待
◆【データ攻略】人気落ちの実力馬に逆襲の予感 「2.2.0.2」の“経験値”がGI初Vへ導く
◆【WIN5予想】メインとスイートピーSは前走完勝馬で「一点突破」 荒れる京都10Rは”想定2桁”も押さえ高配当狙い
▼穴馬予想
◆【穴馬アナライズVol.1】前日“8人気”前後の伏兵 「前走以上の上昇度で勝負圏内」
◆【穴馬アナライズVol.2】単勝オッズ“2桁”の盲点 「馬場が渋れば人気以上の期待値」
◆【穴馬アナライズVol.3】想定“6人気”前後の妙味 「人気落ちの今こそ買いの判断」
◆【危険な人気馬】菊花賞の好走馬は“消し” 「実績が大いなるネック」
▼血統傾向
◆【血統傾向】前走敗戦から“V字”巻き返しの予感 「6.8.3.18」で信頼の軸候補にプラス要素
◆【血統傾向】馬券内率“6割”超の重賞未勝利馬に注目 多頭数のレースで波乱を巻き起こす
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】タイトルホルダーらの“内枠+先行”は好相性 人気以上に走る「好枠」には……
◆【前走ローテ】ジャスティンパレスが“絶対条件”クリアも、前例なき臨戦過程に刺客
◆【脚質傾向】タイトルホルダーは“逃げ”なら黄信号 前走惨敗の馬に再浮上の余地
◆【人気傾向】歴史的名馬も“ぶっ飛ぶ”鬼門の1人気 3年連続3着の4人気に警戒
著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。